QDI 2017年1月
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 歯列の欠損は下顎臼歯部から始まる傾向にある。まず7番を失い、次に6番を失う。この状態のまま放置するか、あるいは欠損処置に失敗すると、5番をも失ってしまう。このような経緯から生じる下顎567欠損は、臨床において比較的多く遭遇する症例ではないだろうか。この重要な局面をインプラント治療により咬合支持を獲得することは、患者の生涯の口腔内環境を維持するためにも非常に有効である。しかし術者は、世の中に溢れる多くのインプラントシステムとコンポーネントの組み合わせから選択を余儀なくされる。 本座談会では、下顎567欠損症例へのインプラント治療における選択肢の中で、適応するインプラントの本数や種類、連結様式、コンポーネントの種類、上部構造の材質について、杉元、竹下、平塚3氏にそれぞれの見解を語り合ってもらった。(編集部)画企趣旨平塚 本日は「下顎567欠損」というテーマで杉元敬弘先生と竹下賢仁先生にお集まりいただきました。臨床で多く遭遇する症例で、機能が重視される臼歯部のためインプラントの本質が学べること、さらに67ではなくて、5番を入れることによって治療の選択肢が増えてさまざまな考察ができるということで、今回のテーマが設定されました。 歯が欠損するおもな理由の1つである歯周病を治療したとしても、567欠損は成績が悪いとされています1)が、この欠損補綴の手段をインプラント治療に絞ってもみてもまだ多くの議論すべき点があります。つまり、❶インプラントの適応本数とサイズの組み合わせ❷インプラントの種類 (エクスターナルコネクションか、インターナルコネクションか)❸連結様式(スクリュー固定式か、セメント固定式か)❹コンポーネントの種類 (アバットメントの種類やサイズ、高さ、材質など)❺インプラント上部構造の材質の組み合わせをどう選択するか。本座談会では、特に臨床で直面する以上の点を中心に議論したいと思います。1はじめに平ひら塚つか智とも裕ひろ(司会)東京都 ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター290029 ─Vol.24, No.1, 2017

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