QDI 2017年1月
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はじめに 欠損歯列という病態を有した慢性疾患では、その症例の経過観察を行うことで欠損歯列の診断、その結果としての欠損補綴治療の妥当性が見えてくる。 1982年にコーヌスクローネデンチャーを装着した症例の34年経過を振り返り、生体反応としての口腔内の変化と人工物としての義歯の変化をインプラントオーバーデンチャーへの改変も含めて検証してみたい。症例供覧初診と口腔内所見 患者は1982年6月初診当時42歳。「歯が動いて噛めない、歯茎からの出血と口臭が気になる」との主訴で来院した。 臼歯部はすべて補綴装置が装着され、ほとんどの歯は動揺度Ⅲ度の状態であった。2は口蓋側に転位しており、歯肉からの出血が全体的に認められた。2002年 62歳2007年 67歳2008年 68歳2012年 72歳2016年 76歳1982年 42歳―34年の経過―崩れた力のバランスがようやく整ったと思われる。初診より30年。7の直下にインプラントを追加埋入して沈下防止のためにマグネットで支持を獲得した。3歯根破折のため抜歯。インプラントを埋入し外冠内にマグネットを装着。支持を獲得した。歯周治療完了後、コーヌスクローネデンチャーによる補綴治療を行う。残存歯は3374323。2000年に3外冠が把柄と金属床のロウ着部より剥がれて脱離。接着で約2年使用したが破折し、上顎コーヌスデンチャーを内冠から新製した。7654遊離端欠損の受圧条件改善のためインプラントを埋入。3部インプラント埋入7部インプラント埋入初診から34年経過歯周治療終了時コーヌスデンチャーを内冠から新製7部インプラント埋入長期インプラント症例を再評価するインプラントを追加埋入しコーヌスクローネデンチャーの安定を図った34年経過症例藤関雅嗣(Masatsugu Fujiseki)東京都開業:藤関歯科POINT!810081 ─Vol.24, No.1, 2017

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