QDI 2017年2号
7/8

はじめに インプラント治療が臨床に取り入れられるようになって30年以上が経過した。その間に多くの基礎的および臨床的研究が報告され、インプラント治療は予知性、安全性、有効性の高い欠損補綴の治療体系として確立してきた。それにともない、歯槽堤増大術や上顎洞底挙上術など、インプラント治療の適応症を拡大する各種の術式も目覚ましい発展を遂げ、従来では不可能であった部位へのインプラント治療が可能になったり、天然歯とほとんど区別がつかないほどの審美インプラント治療が行えるようになってきた。 歯槽堤増大術のひとつである骨再生誘導法(GBR)は三次元的骨増大が可能である、骨欠損形態の影響を受けにくい、インプラントの同時埋入が可能な場合がある、一般臨床家でも施術できるなど多くの利点を有しており、有効な治療オプションとして幅広く応用されている。当初は、バリア機能やスペースメイキングの確保などにすぐれたチタン強化型e-PTFE膜などの非吸収性膜が利用されることが多く、その有効性を支持する研究も数多く報告されてきたが1〜4)、歯肉の裂開にともなう膜の露出・感染の危険性がある4)、術式が煩雑で難易度が高いなど技術的に注意を要することから、次第に吸収性膜へシフトしてきた傾向があるように思われる。 筆者も十数年前から吸収性膜を利用したGBR5〜8)を行っており、予後10年以上を経過した症例をいくつか経験したので、その一例を報告したい。長期インプラント症例を再評価する吸収性膜を用いた水平・垂直的GBRをともなうインプラント治療の10年予後佐々木 猛(Takeshi Sasaki)大阪府開業:医療法人貴和会 新大阪診療所2005年4月63歳2005年9月63歳2006年3月63歳2006年10月64歳2016年12月74歳2004年7月62歳―13年の経過―インプラント二次手術インプラント上部構造装着問題なく良好に経過67の抜歯水平・垂直的GBRと上顎洞底挙上術インプラント埋入手術810265 ─Vol.24, No.2, 2017

元のページ 

page 7

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です