QDI 2017年5号
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88植を行う必要性も少なく、またオッセオインテグレーションの成功率も高い3)。2.もっともインプラントのチャンスが多い部位 下顎臼歯とは口腔内で永久歯の萌出がもっとも早く、人生で特に長く付き合う歯である。と同時に、う蝕や歯周病などによりもっとも早く失う可能性の高い歯でもある4)。3.埋入するスペースが広い 他の歯に比べ近遠心幅が比較的広いため、インプラントサイズとのマッチングに問題が生じやすい。4.咬合圧が高い(図9~11) 一般的に下顎臼歯部が口腔内でもっとも歯の咬合圧が高い部位である5)。ともに誰しも知識、技術は豊富になっていくものだが、より効率的に向上を促すために的確なアドバイスを早期に得ることは臨床医として大変有益なことである。 本連載の目的は、筆者の臨床経験と明確なエビデンスによってシングルインプラント治療に隠れる臨床の落とし穴を提示し、治療の結果をより確実な成功に導くアドバイスを簡潔に与えることである。各部位に分け、個々の特徴と問題点、それに対応する解決方法や注意点を箇条書きにすることで理解しやすく工夫したので、各々の臨床に活用していただきたい。 記念すべき連載第1回では、下顎臼歯部に焦点を当てる。2下顎臼歯部インプラントの特徴1.下顎臼歯のインプラントは満足度が高い(図1~8) 骨の質、量も比較的問題なく、骨移1連載を始めるにあたって すべての歯科治療において成功を達成するには、以下の条件を満たす必要がある。1.成功するための条件を整える2.問題の要素を知る3.問題を避ける術式を行う インプラントは現代の歯科医療において大きな位置を占めており、欠損歯の修復でより安定した予後を求める際、筆者のオフィスではインプラント治療を最優先に提案している。 シングルインプラントの成功率は高く、また臨床における術式に関しても確立されており、より一般的な治療となった1、2)。それほど特殊なトレーニングや技術がなくても患者の満足度を得られる治療である。しかし、すべての治療には「臨床の落とし穴」と呼ばれるものがあり、経験を積むことによってそれらを克服する個々のテクニックを生み出していくものである。経験と成功する下顎臼歯部のシングルインプラントひと目でわかる失敗しないインプラントの治療レシピ後藤吉啓(Yoshihiro Goto)米国開業:Brentwood Dental CenterUSC Clinical assistant professor/UW Clinical assistant professor連 載series第1回Quintessence DENTAL Implantology─ 0820

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