QDI 2017年6号
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94Quintessence DENTAL Implantology─ 0998ある1~ 6)。3.第一小臼歯はインプラント治療に最適な位置(表1、図9、10) 第一小臼歯は上下顎とも外科・補綴に関して複雑な面が少なく、臼歯の治療においてインプラントにもっとも理想的な部位と言える。ほとんどのケースが上顎洞の近心で、下顎に関してもオトガイ孔の近心ということで、解剖学的にも十分な骨量がある。また、小臼歯の歯根の近遠心幅は平均4.2mmでもっとも一般的なインプラントのサイズが4mmとほぼ同じであり、修復物との移行部もスムーズに製作できる。 しかし、時に上顎犬歯の根尖が遠心に傾き、口腔内では十分なスペースがあるように見えても、X線で確認するとインプラント埋入が難しいと判断される場合も多々あるので、CTスキャンでの十分な診断が欠かせない。よってこの2つの術式から選ぶ。患者の外科治療の負担の軽減、また治療期間などの大きな違いがある。また、テクニックの違いだけではなく、移植材料使用の有無の違いも術者の選択として大切である。2.骨の密度が低い(図8) 他の部位と比較して骨の密度が低く、インプラントの初期固定に不安定さがある。より正確な解剖学的な診断、外科治療のテクニック、インプラントのサイズ、形状、表面性状などの進歩が大きく影響しているので、CTスキャンでの十分な診断や治療計画立案が重要である。上顎洞に関する後の問題を避けるためにも外科専門医のコンサルテーションも勧める。 骨の密度に関して、X線上での診断基準TYPE1~41)と、手術中の術者の感覚を基準とした臨床基準 D1~42)が多く使用されている。双方ともに重要であり、手術前の治療計画、術中の臨床判断基準に欠かせない情報で1はじめに 前回からスタートしたこのシングルインプラントの連載は、簡潔にポイントを掴むことによって、成功する治療を患者により確実に提供しやすくなることを目的としている。第2回では上顎臼歯部編をお届けする。2上顎臼歯部インプラントの特徴1.上顎洞の下部でインプラント埋入のための垂直的骨量が十分でない(図1~7) 上顎臼歯部の最大の特徴として上顎洞の存在が挙げられる。上顎洞によりインプラントを埋入するスペースが十分に確保できないことが多いため、上顎洞底挙上術(サイナスリフト)により垂直的骨量を確保しなくてはならない。サイナスリフトの術式として、ラテラルアプローチとクレスタルアプローチがある。インプラントを固定するためにどれほど骨を挙上するかに成功する上顎臼歯部のシングルインプラントひと目でわかる失敗しないインプラントの治療レシピ後藤吉啓(Yoshihiro Goto)米国開業:ブレントウッドデンタルセンター院長(Brentwood Dental Center)南カリフォルニア大学歯学部 Clinical assistant professor/ワシントン州立大学歯学部 Clinical assistant professor連 載series第2回SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Cホール10/6(SAT)午後

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