QDT7月
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Brush Up! Dental Technician with Dentist精度の高い補綴臨床を目指して 後編はじめに 前編では、口腔内と咬合器上をイコールにするために、歯科医師と歯科技工士が変形に対する認識を共通にし、どちらかに丸投げにするのではなく、起きてしまった不具合に対して両者で意見交換し、また、お互いの普段からの作業を見直すことを提案させていただいた。チェアサイドでは、検査・診査・診断、支台歯形成や印象採得を一例として、また、ラボサイドでは、提供された資料の理解、作業模型や咬合器装着などの工夫を一例として挙げさせていただいた。 食片圧入の原因は、「隣接コンタクトの位置や形状の不備」「隣接コンタクトの離開度が大きい」などが一般的である。改善方法として、多くは「隣接コンタクトの位置の変更」や「作業模型の隣在歯が二次石膏から浮き上がるくらい隣接コンタクトをきつくする」などの方法がとられる。しかし、それだけでは改善しない症例が多々見受けられる。 本症例では、コンタクトゲージ100μmは挿入できず、50μmは挿入できる。シリコーンブラック法でオクルーザルコンタクト、写真やスタディモデルで咬合面形態を観察しても、とりわけ問題があるようには思えない。これだけの結果をみれば食片圧入が起こるとは思えない。しかし、現実には、食片圧入が起こり、患者は不快な思 後編となる今回は、実際のケースを基に解説していくが、これは前編で書き示したことがすべて正確に行われた上で、ということを前提として進めさせていただきたい。なお、本ケースはQDT Art & Practice 2013年11月号「The piece of Dental Technology─明日につながるワンポイントテクニック─」(以降、前稿)のケースと同様であり、このケースを製作する際に、どのようなことを考え、注意をしたかをより詳しく記していきたい。食片圧入の改善を目的とした第一大臼歯の補綴治療いをしている。このような症例に、やみくもに、隣接コンタクトの改善や、補綴装置の再製を行ってみても、運良く症状が改善しただけで何の解決にもなっていない。そこで、食片圧入が起こる原因を理論化し、原因追及をするため、歯科医師により必要な各検査が行われ、予想・予測診断が立てられ、それに基づいた追加検査が行われた。その結果、咀嚼時に上顎左側第一大臼歯と上顎左側第二大臼歯間で食物を粉砕していることが判明した。食片圧入が起きる原因がわかり、以前に製作された補綴装置の咬合面形態の不備による機能異常で、主機能部位の位置異常が原因と決定づけられ、食片圧入の原因の可視化ができた。9191QDT Vol.39/2014 July page1051

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