QDT8月
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49座談会:歯を残しながら、将来を見据えた補綴設計を考える(後)49(前号より続く)吉田:次は、治療後メインテナンスに入ってからくも膜下出血で倒れ、回復してからも後遺症として麻痺が残ってしまった、という症例です。この患者さんは現在78歳の女性でご主人と二人暮らしのため、ご主人が介護するようになったわけですが、ご主人も当然高齢ですし、奥様の口腔内にまで目が行き届かないわけです。その経過をごらんいただきたいと思います。 初診は64歳のときで、14年前です。「左の奥歯がしみる」という主訴で来院されました。当初から、多くの補綴物が装着されていました。下顎には、テレスコープタイプのパーシャルデンチャーが入っていました(図1)。図2が初診時のデンタルエックス線写真ですが、幸いなことに歯周病的な問題は少ないようでした。しかし、失活歯が多く、あちこちに根尖病変がみられます。には二次う蝕があり、主訴の冷水痛はこの歯が原因でした。 そのについては、初診時にう蝕の処置を行い、あとで補綴しています。下顎のパーシャルデンチャーは近頃ゆるくなってきて口を開けると浮いてしまうということでしたので、新しく作ることも検討しました。ただ本人はさほど困っていないということでしたの症例6:クモ膜下出血の後遺症でセルフケアが難しくなった患者さん吉田秀人1958年 神奈川県生まれ1983年 神奈川歯科大学卒業1983年 タケスエ歯科(横浜市戸塚区)勤務1986年 横浜市港南区にて吉田歯科医院開設、現在に至る横浜歯科臨床座談会会員、日本顎咬合学会認定指導医、日本臨床歯周療法集談会(JCPG)常任理事。奥沢康彦1953年 三重県生まれ1975年 慶応義塾大学商学部卒業1985年 日本歯科大学卒業1985年 川又歯科勤務1988年 東京都台東区にて奥沢歯科医院開設、現在に至る横浜歯科臨床座談会会員高木 亮1994年 神奈川歯科大学卒業1994年 大山歯科医院勤務1998年 五十嵐歯科医院勤務2003年 東京歯科大学歯科理工学講座 大学院博士課程修了2004年 エンドウ歯科勤務2004年 たかぎ歯科開業、現在に至る日本口腔インプラント学会認定医、歯科理工学会会員、日本チタン学会会員、日本顎咬合学会認定医、日本歯科先端技術研究所 理事・専門医、日本歯科先端技術研究所 フェロー・マスター。ProfilesQDT Vol.39/2014 August page1167

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