QDT8月
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はじめに 金属価格の高騰などもあり、今日の歯科技工ワークにおいてジルコニアは欠かすことのできない歯科材料になっている。国内外問わずさまざまなジルコニアメーカーが存在するが、どのメーカーのジルコニアも約1,000MPa以上の曲げ強度を有している。ジルコニアが普及している理由としては、この高い強度と、生体親和性にすぐれた材料であるという点が挙げられるだろう。さらに半焼結ジルコニアの加工作業が、CAD/CAMやMAD/MAMといった機械の進歩によって可能になったことも大きく影響している。 ジルコニアが臨床に使用されるようになった当初、日本ではCAD/CAMメーカーに模型を送付するセンター方式が主流であったが、ジルコニアが臨床に使用されるにつれて、CAD/CAMシステムを購入し、自らジルコニアを加工するラボも確実に増えてきている。ジルコニアは半焼結状態のブロックを切削して加工するわけで、加工後にはシンタリングを行い、焼結させなければならない。しかし、現状、このシンタリングについては、日本ではほとんど言及されていないのではないかと感じている。どのメーカーのジルコニアもシンタリングすることにより約20%収縮する。歯科技工業務において、従来の金属鋳造やプレスセラミックなどを鋳込む場合でも、材料の違いや混水比、気温差などの違いによって適合精度が左右されるため、だれもが日常の歯科技工ワークを試行錯誤しながら行ってきた。約20%も収縮するジルコニアに対するシンタリングは、決して安易に行ってはならないものであると感じている。 筆者は2004年からの約8年間ドイツにて臨床を行っていた。ドイツではオールセラミックスを中心としたジルコニアワークに携わり、半焼結ジルコニアを加工し、シンタリングをして10年以上になる。この中でさまざまな失敗も経験してきており、約20%も収縮をするジルコニアシンタリングの難しさも痛感している。本稿では、そんな筆者の経験から考えるジルコニアシンタリングの基本的な考え方について、過去に経験した失敗例を踏まえ解説していきたい。なお、シンタリングファーネスでも、アルミナ製やジルコニア製のビーズを敷き詰めてシンタリングを行うシステムなど、さまざまなものが存在するが、今回は筆者が使用しているZirkonZahn社のシンタリングファーネスを基準にして、シンタリングを行う際の基本的な部分を解説していきたい。すべてのメーカーのシンタリングファーネスが今回の内容に完全に当てはまるということはないであろうが、臨床におけるひとつのヒントとなれば幸いである。Feature article #2ジルコニアシンタリングのベーシック

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