QDT10月
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従事者向けには「義歯安定剤」と呼称するが、大きく分けると「粘着系」と「ホームリライナー系」に分かれている。英語では「Denture Adhesives」1および「Home-reliner」2、3と明確に区分けがなされており、ADAのガイドライン1は前者に関する指標であり、後者についてはまったく触れられていない。日本補綴歯科学会のガイドラインにおいてもホームリライナーは流れが悪く、顎堤に対する義歯の位置を変えてしまうため、咬合関係が毎回変化して咬頭干渉・咬合高径・中心咬合位の変化にともなう短期間のうちの顎堤に対するダメージが懸念されているとしている4。 わが国では「粘着系」と「ホームリライナー系」が薬局等で販売されており、選択肢が広い分、利用者自身がその目的と限界を知りながら購入することはほぼ不可能と考えられる。また、薬剤師に対する義歯安定剤の情報提供がなされているとは言いがたいのが現状であろう。 義歯安定剤の利用がさまざまな一時的効果を与える5‐10ことは事実である。その一方で、本来の義歯が有する根本的問題をマスキングしてしまう可能性があり、問題を抱えたまま義歯を使用すれば、負の効果をともなうことが十分予見される3、11、12。 したがって、その取り扱いについて歯科医師は十分な知識を有し、使用にあたり、義歯装着者へ十分な説明と注意を喚起する必要がある。それをふまえて現状の義歯安定剤を使用する場合のポイントについて触れていきたい。■日本と米国における義歯安定剤の分類と呼称日本では……一般向けの呼称→「入れ歯安定剤」医療従事者向けの呼称→「義歯安定剤」「Denture Adhesives」(←ADAガイドラインあり)(←ADAガイドラインなし)「Home-reliner」粘着系&ホームリライナー系粘着系ホームリライナー系米国では……

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