QDT10月
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105105 欠損補綴とは、歯列の欠損によって失われたスペースに「歯」とその「歯周組織」を適正な位置に復元し、少しでも機能の回復率を向上させるために行われる補綴治療である。欠損が存在するということは欠損に至るその患者固有の原因があるということである。その原因は、先天的なものや外傷によるもの、または歯周疾患やう蝕に起因するもの、さらにそこへ咬合力による「力」が組み合わさるものなどさまざまであるが、いずれにしろ、その原因を放置したまま欠損補綴を行えば、同じ問題が再発し、欠損が拡大してしまう可能性は高くなる。補綴装置の目的は口腔内に装着して歯列の連続性を回復させ、一時的に機能を回復して終了というわけではない。一日でも長く口腔内で安定し、「顎口腔系のすべてがうまく機能し続けて」長期に永続性が得られること(longevity)を目的とするのである。 現在では、補綴装置の製作プロセスやマテリアルセレクトがトピックスと扱われやすいが、われわれ術者側はそれらの装置を製作する前に「欠損歯列」という病態を考える必要があると筆者は思っている。 本稿では、いくつかのケースをサンプルとして挙げつつ、「補綴装置と永続性」をキーワードに筆者の基本的な考えを紹介していきたい。はじめに

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