QDT11月
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95第2回:イボベースシステムにおける重合後の考察 本システムは「イボベースインジェクター」という義歯重合装置を使用して、新規に開発された義歯床用レジン「イボベースハイブリッド」(以下ハイブリッド)、「イボベースハイインパクト」(以下ハイインパクト)と以前より販売されている「SRイボカップ」を注入できるシステムである。長年培われてきた「SRイボカップシステム」の技術を踏襲し、電子制御によって重合収縮を補填して重合することで、高品質で精密な義歯床が製作できるとされている(表1、図2〜6)。実験概要 本実験では、①3種類の冷却法の違いによる変形量の違い、②ハイブリッドとハイインパクトの比較、③1時間後と1週間後の経時的変化の比較の3つの実験を行う。試験体の製作 無歯顎石膏模型「402タイプ」(ニッシン、図7)を複印象材「デュプリコーン」(松風)にて印象採得した陰型に、超硬石膏「ベルミックスストーン」(Kerr,カボデンタルシステムズジャパン、図8)を注入して得た模型を複模型とした。この複模型に人工歯「SRフォナレスⅡ」(Ivoclar Vivadent)を排列したものを複印象材によって印象採得し、排列した状態の陰型を製作した。イボベースシステム実験常温重合レジンでありながら加熱重合レジンの必要要件をすべて満たしている常温重合レジンであるため、加熱重合レジンと比べて熱変形が少ない自動制御の填入で重合収縮を補填し、精密な義歯を製作できる(図3~5)重合槽が不要で、時間と温度管理が容易電源接続のみで、コンプレッサーや水道への接続が不要RMR(Residual Monomer Reduction)機能によって残留モノマーを1%未満にできるバクテリアの繁殖数も少なく衛生的である(図6)表1 イボベースシステムの特徴。図4 イボベースで重合後、開輪せずに矢状面で削り出した状態。収縮はほとんど見られない(上:ハイインパクト、下:ハイブリッド)。図5 イボベースで通法どおり義歯床を重合した試験体の後縁の状態。軽く押さえた状態では間隙はみられない。図6 Carlos Muñoz-Viveros(バッファロー大学、ニューヨーク)がバクテリアのコロニー形成について行った調査の箱ひげ図。箱ひげ図はばらつきのあるデータをわかりやすく表現するグラフである。中央の線が中央値、グラフの幅が狭いほどコロニー形成の数が少ない。続いてこの陰型の歯冠部に即時重合レジン「ユニファストⅢ」(ジーシー)を注入し、仮人工歯とした。その後、パラフィンワックス(ジーシー)を注入し、ワックスデンチャーを完成させた(図9)。 完成したワックスデンチャーを専用フラスコにて石膏埋没し(図10、11)、重合を行った。重合時の義歯床材料は「ハイブリッド」、「ハイインパクト」の2種類で行った。重合時間はハイブリッド35分間、ハイインパクト50分間。重合後、試験体のスプルーをカット、モデルトリマーを用いて後縁から8mmの所まで削り出した。その後模型から外し、重合時にバリが発生した箇所はその部分を滑らかにし、模型に戻りやすい状態にする。それを模型に戻し、試験体とした(図12)。020406080100120ProBaseColdLucitone 199CompressionLucitone 199SuccessIvoBaseHybridIvocapMean Value C. albicans/field of viewQDT Vol.39/2014 November page1715

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