QDT2015年9月
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3Dフェイシャルスキャンの今、そしてこれから47 顔貌の3Dモデルは、映画やゲームなどの仮想現実空間におけるよりリアリスティックな表現方法や、バイオメトリクスとして生体認証技術のひとつとして用いられており、今日さまざまな分野での発展を見せている(図1)1、2。 歯科においては、外科や矯正治療の術後シミュレーションに用いられているだけでなく、顔面一部欠損患者に対する補綴的再建方法としてのエピテーゼ(顔面補綴装置)の製作にも応用され、国内外での症例報告がある(表1)3~6。 従来、エピテーゼの製作には、歯科用印象材を用いた顔面印象により、欠損部の形態を採得し、健全側の形態や、患者の過去の顔貌データ(写真)などを参考に形態や色調を再現する手法が用いられてきた(図2)7。エピテーゼによる補綴的再建法は、形態や色調を生体と調和させることで、直接患者のQOL向上に寄与することから、その製作には高い技術が必要とされる。また、顔面印象法は、義歯などの印象と比較し、患者および術者の両方に対して負担が大きく、また、苦労して得られた印象も、閉眼状態であることや、材料の重みによる変形を生じるなど、■さまざまな分野での3Dフェイシャルスキャンの利用■国内で顔面計測に応用されている空間計測機器表1 フェイシャルスキャナーとして応用される計測機器はさまざまであり、器機によって光源や測定時間が異なる。図1 コンピュータ上での3Dモデルの表現は皮膚だけでなく、髭や毛髪もよりリアルに表現する手法なども提案されている(本図は参考文献2より引用)。使用機器(メーカー)光源測定時間著者SURFLAGER VM-300P-4(Unisn社)レーザー光5秒Tsujiら(2004)3CT(DICOMデータ)(エックス線)―大木ら(2012)53dMD face system(3dMD社)なし<0.1秒吉岡ら(2013)6VIVID 910(KonicaMinolta社)レーザー光2.5秒RexcanⅢ(Solutionix社)ハロゲン光2秒はじめに:3Dフェイシャルスキャンの現在QDT Vol.40/2015 September page1291

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