QDT2015年9月
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地方スタディグループの可能性 ―「空白地帯」長崎で、西村好美氏の特別講演会を開催して―113である。現在、月1回の例会を行い(歯科医師と歯科技工士は同じ例会を開催、歯科衛生士は別開催)、年に1回は総会という形で同時に開催し会員発表を行っている。2015年4月現在、歯科医師13名、歯科技工士7名、歯科衛生士15名の構成となっている。 また長倫会は、同じく長崎市内で3年前に、若手歯科医師・歯科技工士が石膏彫刻を中心とした知識の向上、さらには歯科技工以外の知識の 2015年3月当時、長崎県は47都道府県の中で唯一日本歯科技工士会加盟の歯科技工士会が存在しない空白地帯となってしまっていた。そして、空白地帯となって以降、著名演者を招いての講演会や実習会などが極端に減少した。こうした中、モチベーションの高い歯科技工士たちは県外に勉強に出かけているが、その結果さらなるモチベーションの差や知識の差が生まれてしまったように思える。さらに、若い歯科技工士が地方から都心に流れてしまう現状もあり、このままでは地方の歯科医療が向上しないのではと危機感を感じ共有・レベルアップを目的として発足したグループである。若い歯科医師や歯科技工士は、経験豊富な歯科医師・歯科技工士が参加する勉強会では、技術、知識の差からなかなか発言ができない場合がある。ライドシャフトでも長倫会でも、その差を少しでも埋めるために若手だけで集まり、発言のしやすい環境で発表し、伝える力を発揮できるようにと考えている。こちらも月に1回例会を開ていた。このような状況は、ライドシャフトならびに長倫会会員の共通の目標である「地域に根ざした歯科医療」を目指す上で危惧すべきものであり、「どうにかきっかけをつけられれば……」ということで、今回世界的にも著名な西村好美氏を招いての講演会を企画・開催した。 開催決定以降の集客については西村氏のネームバリューはもちろんのこととは思うが、個々の会員の声掛けによる努力が大きかったと感じている。長崎大学歯学部同窓会へのアナウンスをはじめ、なるべく若い方に聴講してもらいたいことから長崎催し、皆で模刻を参考に石膏彫刻を行っている。また総会もライドシャフトと同様に年1回行っており、長崎市内の歯科医師、歯科衛生士を招聘しての講演会や、会員自らの症例発表を行い、それを招聘演者から寸評していただくことで個々のプレゼンテーション能力のレベルアップを図っている。なお、会員は現在歯科医師1名、歯科技工士7名の会員からなる。大学歯学部、長崎歯科技術専門学校、そして長崎歯科衛生士専門学校の学生へのアナウンスもさせていただいた。また、それぞれの学校の先生方のご尽力にも感謝申し上げたい。結果、この講演会にご参加いただいたのは歯科医師28名、歯科技工士34名、歯科衛生士24名、デンタルスタッフ4名、歯科大学生6名、歯科技工士学校生8名、そして歯科衛生士学校38名の総勢142名。ここまでの参加者が集まるとは筆者自身考えてはいなかった。「空白地帯」の長崎県に西村氏を招聘するまでQDT Vol.40/2015 September page1357

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