QDT 2016年4月
2/8

対談:チェアサイドCAD/CAMインレーの長期症例から考える、長期維持のためのファクター(前)1717●深い窩洞でとくに有利なCEREC修復中村:それではまず、CERECシステムを用いた修復治療を長期にわたって維持するための要素として、適応症の選択についてお話ししたいと思います。ですが基本的に、何か特殊なことがあるわけではありません。教科書に書いてあるようなことで、通常のセラミックインレーと同様と考えています(表1)。まず、過大な咬合力が加わらない部位であることや、強いブラキシズムをもつ患者さんは避けることですね。 また、う蝕の大きさと窩洞についてですが、私は大学でCERECシステムを使用して修復した窩洞に対する辺縁漏洩試験を行ったことがありまして、その結果、セラミックブロックを用いたいわゆる「メガフィラー」の考えで行った修復は、直接法・間接法を問わず従来のコンポジットレジンによる修復にくらべて辺縁漏洩が少ないことが分かりました。よって、深くて大きなう蝕に対して積極的に利用しています。すなわち深さ、幅ともに2mmを超えるような窩洞となる場合です。また、インレー修復は多くのケースで臼歯部に対して使用しますので、Ⅱ級以上の窩洞を対象とします。 辺縁漏洩試験の実際ですが(図1)、私の実験では小臼歯の咬合面にⅡ級の窩洞を形成し、そこにCERECインレーをセットしました。もう20年近く前になりますので、使用材料はVITA MarkⅡ(Vita Zahnfabrik,白水貿易。以下、MarkⅡ)でした。そこに負荷をかけて色素の浸透を観察する加速劣化試験を行ったのですが、良くも悪くも実験になりませんでした。と、いいますのも、比較として行ったCR直接充填などでは辺縁漏洩が避けられなかったのに対し、CERECインレーを接着したものではまったく辺縁漏洩がみられなかったのです。1995年ごろの実験で、当時のCERECは現在ほどの適合が得られなかったにもかかわらずこういった結果が得られたため、その時点で「CEREC修復は、きちんと接着すれば予後が良いのではないか?」と推測しました。 この実験では窩壁のテーパー度も変化させているのですが、当時ベストとされていたパラレルな形態はもちろん、アンダーカットのある窩洞に対してテーパー1適応症の選択について表1 チェアサイド型歯科用CAD/CAMインレー修復の適応症。チェアサイド型歯科用CAD/CAMインレー修復の適応症a.通常のセラミックインレーと同様の基本的な適応症→過大な咬合力が加わらない部位→過大なブラキシズム、クレンチングなどの悪習癖がない症例b.辺縁漏洩試験の結果による適応症→セラミックブロックは、従来のノンメタル修復材料に比較して辺縁漏洩に対する抵抗性が優れる→深く大きなう蝕に対して有効→深さ、幅ともに2mm以上のう蝕→Ⅱ級窩洞を、主たる修復対象QDT Vol.41/2016 April page 0459

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 2

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です