QDT 2016年4月
4/8

デジタルエックス線写真の歴史と最新事情37 ここ数年前まで、自らのエックス線写真に「こだわり」をもつ歯科医師たちは、こぞってデジタルエックス線写真に対して否定的だった。曰く、「階調が不自然」「画像の鮮鋭度が低い」と言ったことを問題視し、歯科雑誌の誌上でも従来の銀塩フィルムの優位性を訴える記事・論文が散見された。しかし、最近ではこういった議論は落ち着きを見せており、昨今の買い換えや新規開業においては多くの歯科医師がデジタルエックス線装置を選択している。だが果たして、この数年の間に「こだわり派」の意見を封じるほどにデジタルエックス線装置は進化しているのだろうか? そこで本企画では、デジタルエックス線装置が登場して以来の進化をたどり、今後の進化の方向性についても考えてみたい。はじめに1.デジタル以前のフィルムレスシステム 富士写真フイルム(現・富士フイルム)が世界初の本格的なデジタルエックス線写真システム「Fuji Computed Radiography(FCR)」を発表したのは1981年であるが、その15年前にコピー機に似た原理をもつ装置が発売されていた。1968年にWolfe JNとゼロックス社とが共同開発したゼロラジオグラフィー(Xerox 125 System)である。口内法撮影用のシステムとしては、1980年にXerox 110 Systemが開発されている(図1)。 このシステムによるエックス線像形成の原理は、アルミ板にセレンを蒸着した感光板表面をコロナ放電によってプラスに一様に帯電させておき、被写体から透過したエックス線がその表面に当たることで静電潜像を作る。ここにマイナスに帯電したトナーを吸着させ■デンタルゼロラジオグラフィー図1 デンタルゼロラジオグラフィー装置(Xerox 110 System、1980年)。図2 静電像(図中左)とフィルムでの像(図中右)。静電像フィルム像QDT Vol.41/2016 April page 0479

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 4

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です