QDT 2016年11月
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安全な支台歯形成とは何か? ―「支台歯形成の面基準」のエッセンス―(後)2121₁歯種別の具体的な注意点①上下第一大臼歯の誤りやすい形成 臨床でよくみられるのですが、6の形成は内側に入りがちです。頰側軸面を内側に倒して形成し、舌側軸面を(実際は頰側に15°倒れているのに)立てて形成するからです。 下顎はそれとは逆で、6の形成は外側に出がちになります。頰側軸面を(実際は舌側に15°倒れているのに)立てて形成し、舌側軸面を(内側に倒れているのに)舌が邪魔になりどうしても頰側に倒して形成してしまうからです。結果として、オーバージェットの少ないクラウンになるのです。これでは歯科技工士にとってクラウンを作りにくい支台歯形態になってしまいます(図1~4)。 歯科技工士としては、6の機能側咬頭を6の中心窩に咬合させたいのにできないし、6の頰側咬頭を6の中心窩に咬合させたいのにできない。咬頭対窩の関係を回復するのが難しくなるのです。また、被蓋は少なくなり作業側偏心位で干渉を起こしやすくなります上下第一大臼歯の長軸方向角は一直線になる図1 ₆と₆は、長軸方向角が15°、-15°となり、一直線になります。第一大臼歯が咬合力に最大の抵抗性を有する理由のひとつです。ほかに咬合力に対して最大の抵抗性を示す部位は、10°、-10°で嵌合する第二小臼歯です。図2 ₆は15°内側に傾斜し、頬側第2面はさらに20°の傾斜があります。垂直線に対して計35°傾斜している第2面に合わせて形成すると維持力を失うと思ってしまい、どうしても立てて形成しがちになります。結果としてクラウンも頬側に出てしまいます。 ₆は15°外側に傾斜し、舌側第2面はさらに15°の傾斜があります。垂直線に対して計30°傾斜している舌側第2面に合わせると維持力を低下させるのではとの懸念から、それを避けようとして立てて形成しがちです。そのためクラウンは舌側に入ってしまいます。長軸方向を見失うと15°QDT Vol.41/2016 November page 1533

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