QDT 2016年11月
4/8

米国最新CAD/CAM事情 35 昨今進化し続ける最先端の技術は歯科医療全般において大きな変化を起こしており、実際の臨床現場に対しさまざまな好影響を起こしているといえる。それは一般歯科治療にかぎらず、歯科技工士による技工作業に加えデジタル画像診断、ガイデッドサージェリー、歯内療法、矯正治療などにも応用されている。このいわゆるデジタルデンティストリーの領域においてもっとも大きな変化を受けるのが補綴修復の分野であるといわれており、そのデジタルデンティストリーとの連携が患者さんに対するケアの向上にさらに役立つことは間違いない。 本稿ではその中でも、成長著しい口腔内スキャナーの分野において、改めてその歴史、コンセプト、利点、欠点、そして現在米国でシェアを広げている主なブランドの特長について述べていきたい。 現在、われわれはダイヤル式の電話からタッチパネルの携帯電話に、40cmの奥行きがあったブラウン管テレビから厚さ3cm以下の薄型液晶テレビが普通に家庭にある時代を生きている。紙の地図はGPSに取って代わり、手書きのハガキはemailに代わった。われわれが今使用している携帯電話の処理能力はNASAがはじめて月面着陸したときに使用されたコンピューターのそれよりも高いといわれている1。現代のわれわれや、今後を担う若い歯科学生にとっては今の技術が身近にあって当然の環境であり、したがってデジタル技術が近い将来、歯科医療に大きな変化を与えることは明らかである。すでに、多くのデンタルエックス線写真がフィルムからデジタルに取って代わっていることからもその事実がうかがえる。 あやうく忘れそうになるが、われわれは歯科技工分野においてはすでに多くの恩恵を得ている。技工室では石膏模型や印象がスキャンされ、コンピューター上でインプラントアバットメントやクラウンがデザインされている。歯科技工界ではワックスやスパチュラ、石膏がなくなりつつあり、なんらかの形で技工作業のデジタル化にシフトしている米国の歯科技工所は年々増えている。 歯科技工所だけでなく、臨床の現場においても1980年代にはじめて実用的な口腔内カメラがMörmannらの手によって誕生して以来2、デジタル印象の世界は既存のアナログ印象に追いつけ追い越せで進化を続けており、いずれ完全に取って代わる時代が来ることはもう間違いないと思われる3。はじめにはじめに1.アナログからデジタルへ1.アナログからデジタルへQDT Vol.41/2016 November page 1547

元のページ 

page 4

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です