QDT 2016年11月
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は下顎運動を理解し、各運動時に咬合面に現れる機能的運動経路の軌跡(オクルーザルコンパス)に調和した咬合面形態、または前歯部舌側面形態を付与することが必要であると提唱している。それはワックスアップでも、セラミックでのビルドアップでも、CAD/CAMでデザインしようとも関係なく、どんな方法を用いても機能的咬合面形態を具現化することが、われわれ歯科技工士の役割のひとつということに変わりはない。 筆者は約20年間の歯科技工士人生の中で、咬合理論を中心に学んできた。しかしまだまだ修道の身であるし、日々の臨床の中で多くのことを学んでいる。そのひとつに、なぜ天然歯はこのような形態をしているのであろうかという疑問がある。「他の生物のように必要であったからこのように進化したのであろうか?」「なぜ大臼歯や小臼歯はもちろん、前歯はこのような形態と排列をしているのか?」と日々感じている。宇宙や深海のように人体も神秘であると聞いたことがある。もしかすると、このエナメル質と象牙質で構成されている歯牙も、まだまだ謎が多く神秘的なものなのかもしれない。もちろん筆者がその謎に答えることはできないが、先人の努力によって歯牙がどうしてそのような形態になっているのかをある程度は推測することはできる。今回は、機能的側面から重要だとされる上下顎第一大臼歯についての、歯牙形態と咬合の関係性を考えてみたいと思う。MorphologyThe First Molar Edition Part 1

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