QDT 2016年12月
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ドイツ『QZ』にみる、下顎運動解析装置の今2323Press(Ivoclar Vivadent、エルヴァンゲン,ドイツ)に代表される二ケイ酸リチウムのような新素材は、咬合面においても0.3mmの厚さが可能という低侵襲性の治療を可能にした。干渉があったとしても、穿孔するまで変化する金属咬合面や、摩耗やチッピングを起こすメタルセラミック修復とは異なり、モノリシック修復物として用いられるリチウム酸化物または酸化ジルコニウムなどの新素材は実質的に摩滅しない。しかしながら、補綴物が修復部位へのオーバーロードにも耐え得るということは、そのぶん他の歯や咀嚼器官構造へ無理を強いることにもなる。セット後に咬合調整をすれば、多くの場合品質を著しく低下させることになるだろう。 歯科医師は、複合的口腔治療の総合責任者であることを認識しなければならない。他組織に損傷を与えることなく、新素材およびそれらがもたらす恩恵を利用するためには、診断、計画、治療により重点を置くことが要求される。アナログであれデジタルであれ、それぞれの患者固有のデータに合わせて咬合器を設定することが、近代的な技術を使用する際には必要となってくる。平均値の咬合器では、300μmもの誤差を回避することはできない。 一般に、下顎運動電子計測システムは4つのグループに分けることができる。グループ1:顎関節から離れ、前歯付近で非接触にて計測するシステムグループ2:顎関節付近で接触し、ヒンジ軸上で計測するシステムグループ3:顎関節付近で非接触にて計測するシステムグループ4:咬合平面付近で非接触にて計測するシステムどれも全6自由度の動きを検出し、下顎の任意の点に運動を変換することができる。 ここで紹介するCadiaxシステムはグループ2に属し、40年かけて開発されてきたシステムである。最新の科学的に証明された研究結果に基づき、Cadiaxおよびリファレンスシステム(Reusch, Feyen と Cramer のReFerenCe-Systemより)は、オーストリア・クロスターノイブルクのGamma Dental社によって、Christian Slavicek(訳者注:Gamma Dental社 社長)のリーダーシップのもと、新たな要求に応じてさらに開発が続けられてきた診断、計画、治療のためのモジュールを含む包括的なシステムである。平均値フェイスボウでの単純で機械的な顎運動描記から始まって、相互に連携し構築されてきたモジュールは、徐々に高次複合解析システムへと進化した。また、修復治療で使用できるモジュールをもつ唯一のシステムである。 その目的とは、■ 咬合の安定性と下顎基準位の再現性にかかわる顎関節のセントリックリレーションの描記■ 患者固有の値の把握。患者の機能的な特性を踏まえた歯科医師の処置および技工プロセスの目的の一致と最適化 咬合器をカスタムに設定することでその動きを、「アーティキュレーション(咬合運顎運動シミュレーションのための精密機器による機能解析口腔治療に主眼を置いた運動解析装置QDT Vol.41/2016 December page 1673

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