QDT 2017年1月
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140 デジタル技術の発展や接着セメントの進歩、再生医療技術の進化は目覚ましく、クラウンブリッジ補綴学ではCAD/CAM技術を応用したメタルフリーの歯冠補綴装置の実用化や接着技術適用の有用性の見直し、口腔インプラント技術の革新と安定化などを進言している1。 日常の補綴臨床においても、セラミックスやファインセラミックス、レジン系セメントの臨床応用、さらにはインプラントの臨床導入が定石とされ、最近ではCAD/CAMの臨床導入も必然的になりつつある(図1)。 今現在の補綴治療における不文律(暗黙のルール)は色と形態の再現であり、白く綺麗な歯とピンク色の歯肉を仕上げてこそ補綴治療の完遂とする時代となってはじめに患者本位の補綴治療を目指してこれからの歯科医師と歯科技工士のアプローチを考える連載歯科医師・補綴臨床総合研究所愛知県名古屋市東区徳川1‐407‐2 Fortress TOKUGAWA中村健太郎 Kentaroh Nakamura第1回  問題定義! 患者本位の補綴治療とは?―これまでの補綴治療、歯科技工を考察する―本連載の流れ[全3回][第1回(今回)] 問題定義! 患者本位の補綴治療とは? ―これまでの補綴治療、歯科技工を考察する―[第2回(2月号)] 患者の笑顔が見える歯科技工を目指して ―ドイツの歯科技工とは?―(歯科技工士・大川友成〔Organ Dental Technology Hamburg〕)[第3回(3月号)] 患者の機能を見据えた歯科技工を目指して ―咀嚼を回復する歯科技工とは?―(歯科技工士・松前 団〔ラグ・ソウェルデンタルクラフト〕)企画趣旨 歯科医療の目標が、必要十分な機能や審美性、そして予知性などに下支えされた「患者さんの満足」にあることは疑いようのない事実である。しかしながら、歯科界、中でも補綴治療の現場には「術者が得意とする、あるいは行いたい治療法への誘導」「歯科技工士とのディスカッションや、補綴装置装着後のフィードバックが行われない環境」などが存在し、「患者さんの肉声が歯科医療チームに届かない」「そもそも、歯科医療チームが組まれていない」状況が散在していることは否定できない。 そこで本企画では、本年より誌名を復古した「QDT」の誌上において、改めて歯科医師と歯科技工士のチームアプローチのありかた、そして歯科医療の共通のゴールを「患者さんの満足」へと定め、行動することのたいせつさについて、日頃から緊密な関係を保つ歯科医師・歯科技工士₃氏にそれぞれの視点からご解説いただく。(編集部)QDT Vol.42/2017 January page 0140

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