QDT 2017年3月
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 コーヌスクローネをはじめとするテレスコープクラウンは、長期にわたって口腔内で機能する維持システムとして現在でも選択されている。しかし一般的に多くの臨床家が選択しているわけではないことも現状である。筆者はその理由を、QDT 2013年9月号に執筆した「コーヌスクローネはなぜ難しいのか─だれもが製作できる陰圧を利用したパラレルテレスコープ製作法─」1という論文の中で、維持力調整など技術的な難しさ、内冠・外冠の金属色による審美的要因、オーバーカントゥア、修理の難しさ、金属アレルギーや金属代の高騰にあると挙げさせていただいた。 そこで筆者は、CAD/CAMの急速な普及とクオリティの向上にともない、このテレスコープクラウンをCAD/CAMにて製作ができないかと模索してきた。さまざまな試行錯誤の末、松風より発売されているグラスファイバー素材「トリニア」(図1)を用いることで、補綴装置として一定のクオリティに達することができたと考えられるので、本稿においてこのメタルフリーテレスコープデンチャーについて紹介させていただきたい。はじめに

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