QDT 2017年3月
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106 インターネット上ではSNSなどを通じ、日本人をはじめ世界で活躍する多くの歯科技工士が製作した、天然歯と見紛うクオリティーの高いセラミックを材料とした審美修復を簡単に閲覧することができる。 その中には、写真だけにとどまらず、作業中の動画もある。これらのものを閲覧し、審美修復の色調・形態、歯周組織との調和などSpecialな技術の一挙一動をもらさず観察し習得したいと思うはずである。 著者も、いち歯科技工士の端くれとして、突き動かされるものがある。旺盛な意欲をもった歯科技工士ならなおさらであろう。 また、技術的なものだけではなく、現在の歯科業界が直面する危機的状況に対する論議もあり歯科医師と歯科技工士が互いの置かれた状況について直接ぶつけ合う場も見ることができる。そのなかで一つのスレッドに著者は興味をもった。 そのスレッドとは、「歯科医師が考える補綴治療を成功させるために必要なことは?」についてであった。スレッド内での歯科医師の返答は、・「上手な歯科技工士に依頼する」・「審美的に口腔内に調和のとれた補綴物を製作できる歯科技工士に依頼する」・「口腔内のフィニッシュラインに補綴物のマージンを合わせられる歯科技工士に依頼する」・「壊れない補綴物を製作できる歯科技工士に依頼する」などの返答が多くみられた。 このように、一般的に歯科医師が歯科技工士に「求める、または評価する」基準は、補綴装置をフィニッシュラインに正確に適合させられる技術力や、審美的に優れ壊れない補綴装置を製作できる技術力である。また、不備のある支台歯形成や印象採得で形となった模型だが、なぜか口腔内に収まってしまう補綴装置を製作できる技術のようでもある。ゆえに、われわれ歯はじめに患者本位の補綴治療を目指してこれからの歯科医師と歯科技工士のアプローチを考える連載*1歯科技工士・ラグ・ソウェルデンタルクラフト大阪府大阪市淀川区宮原2‐13‐19 サヨハウス3階*2歯科医師・補綴臨床総合研究所愛知県名古屋市東区徳川1‐407‐2 Fortress TOKUGAWA松前 団*1 Madoka Matsumae/中村健太郎*2 Kentaroh Nakamura第3回 患者の機能を見据えた歯科技工を目指して─咀嚼を回復する歯科技工とは?─本連載の流れ[全3回][第1回(1月号)] 問題定義! 患者本位の補綴治療とは? ─これまでの補綴治療、歯科技工を考察する─[第2回(2月号)] 患者の笑顔が見える歯科技工を目指して ―ドイツの歯科技工とは?―(歯科技工士・大川友成〔Organ Dental Technology Hamburg〕)[第3回(今回)] 患者の機能を見据えた歯科技工を目指して ─咀嚼を回復する歯科技工とは?─(歯科技工士・松前 団〔ラグ・ソウェルデンタルクラフト〕)QDT Vol.42/2017 March page 0494

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