QDT 2017年4月
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序論 歯科におけるCAD/CAM加工は、インレー、部分冠や単冠から始まり、今日ではブリッジ、インプラント上部構造の製作が小規模な歯科技工所においても可能である。この技術を導入することで材料の特性を活かして効率的に使用できるため、固定式装置の領域では幅広く開発が進んだ。 酸化ジルコニウム、ガラス、長石および二ケイ酸リチウムなどの特に耐久性に優れた新素材に端を発し、チタン、非貴金属、金合金の加工の可能性がそれに続いてきた。最終的に設備投資が十分に償却できれば、高品質の歯科用補綴装置を製作するためにこれらの材料を使用することが可能になる。 CAD/CAMの世界にプラスチックが登場したのは2005年。当初は非難と嘲笑を浴びたこのありふれた材料が予想外の可能性をもたらし、さらにその入手しやすさがCAD/CAMを応用した可撤性義歯生産の可能性を開く。 利用範囲はさまざまである。現行の歯科技工における需要に応じるため、業界既存の設備、機器、ソフトウェアに対応できるようCAMプロセスは加法工程を前提としているが、いずれ3Dプリンティングやステレオリソグラフィなどの減法工程にも対応する。 この技術を使用するためにはいくつかの条件がある。必要なスキルを得るためのトレーニングや設備投資も必要となる。大規模な設備投資は多くの歯科技工所で敬遠されるが、ここで重要なのは市場に十分な可能性があるかどうかであり、投資資金の回収が保証されることである。決定を下す前には考えなければならないさまざまな問題があり、利得を問うのは当然である。 いくつもの開発者から、スプリント製作と並んでCAD/CAMによる可撤性義歯製作のためのさまざまなコンセプトと方法が提供されている。Baltic Denture System Baltic Denture System(Merz Dental,ドイツ)では、歯科技工士■ 作業量の軽減■ 時間の節約■ 素材のメリット■ 既存の工程に統合可■ 顧客のメリット=競合優位性歯科医師■ 時間の節約■ 患者にとってのメリット■ 既存の工程に統合可■ 再生可能■ ポートフォリオ(治療内容)の拡張 ‐パイロットデンチャー ‐サージカルステント ‐暫間義歯、旅行用義歯利点図1 歯科医師および歯科技工士にとってのBaltic Denture Systemの利点。

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