QDT 2017年5月
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31CAD/CAMシステムによるマージンの適合性問題への挑戦31いるが、基本的には図1bに示した支台歯の中心間距離(30mm)を計測した際にどれくらいの誤差で収まっているかを記述しているものと思われる4。しかし独自の基準で謳っている場合もあり、統一されていない。 さらに歯科用CAMのISO規格については、未だ何も制定されておらず、測定精度・再現精度ともに、いわば野放し状態で、各メーカーやディーラーの技術に依存しているのが実態である。歯科用スキャナーについて 歯科用スキャナーは、接触式と非接触式に大別されるが、非接触式スキャナーにもレーザー光切断方式、パターン光投影方式などがあり、多くのシステムが販売されている(表1) 。 筆者は2001年から接触式スキャナーであるNobel Biocare社のProcera Model 50の使用を開始、2006年から同じく接触式スキャナーであるProcera Forteに変更、同年に非接触式でハロゲン光格子パターン投影法の3M ESPE社のLAVA®SCAN-STを導入、2009年からNobel Biocare社のスポットレーザー光投射法(コノスコピックホログラフィー技術)のProcera GENION、2013年から松風社の赤色レーザー光切断法によるS-WAVEスキャナーD700(3Shape)、2015年から同社の青色LED格子パターン光投影法のD900(3Shape)と多様なスキャナーによるCAD/CAMシステムを使用してきた。 これらのシステムを使ってきた中では、一般的な評価と違わずハロゲン光格子パターン投影法のLAVA®SCAN-STのシステムによるコーピングの適合感がもっとも優れていたと感じているが、このシステムは10年以上前のシステムであり、製作範囲を6本ブリッジまでに限局した設計による3Dデータ量の優位性によるものではなかったかと考えている。他の歯科用スキャナーの分類表1 歯科用スキャナーの分類。タイプスキャン方式スキャン方法三次元データ取得法特 徴デスクトップタイプ(ラボ用スキャナー)接触式 倣い法対象物に直接プローブを接触させてスキャンし、接触点の座標を読み込んで三次元データを取得・測定精度が高い・エッジの再現性が良い・スキャンに時間がかかる・プローブが入らない部分の測定不可・測定物の大きさが限られる非接触式光(格子パターン)投影法格子パターン光を対象物に投影してスキャンし、その反射光をイメージセンサで受光して三角測量法で三次元データを取得・高速で精度の良いスキャンが可能・スキャン面が滑らか・暗い場所でのスキャンが必須 レーザー光投影法スリットレーザー光で対象物をスキャンし(光切断法)、その反射光をイメージセンサで受光して三角測量法で三次元データを取得・スキャン面が荒れる傾向・明るい場所でスキャンが可能・コストパフォーマンスが良いスポットレーザー光でスキャンし、そのスポット反射光をイメージセンサで受光して三角測量法、またはPSDセンサーなどで直接測距して三次元データを取得ハンディタイプ(口腔内スキャナー)非接触式デジタル写真連続撮影法ステレオマッチングによるデジタル写真測量法で三次元データを取得・手振れなど人的な要素が精度に影響する・処理ソフトの進化で精度は高くなってきたQDT Vol.42/2017 May page 0727

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