QDT 2017年5月
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8282はじめに パーシャルデンチャーを長期的に機能させるために、先人らによってさまざまな方法が試みられてきた。現在のパーシャルデンチャーによる欠損への対応は、長き歴史の上に確立された術式であると言ってもいいであろう。 パーシャルデンチャーの設計を進めていく上で考慮すべき点は、欠損部位に回復される咀嚼ユニット、すなわち人工歯とレジン床からなる部分をいかに維持安定させるかであり、これが機能回復の上で重要であることは周知の通りである。しかし、そのためには各コネクターによるフレームワークで残存歯と咀嚼ユニットを一体化(二次固定)させる必要がある。その際、固定源を残存歯に求める方法(クラスプデンチャー、アタッチメントデンチャー、コーヌステレスコープデンチャー)と、固定源をインプラントに求める方法(インプラントブリッジ、インプラントオーバーデンチャー)があるが、本稿においては前者の固定源を残存歯に求める方法でそのKeyとなる鉤歯の形態について考えてみたい。 鉤歯が残存歯の場合、口腔内で咀嚼ユニットを維持安定させるためには、口腔内での歯科医師による前処置(マウスプレパレーション)、すなわちレスト形成や軸面形成が重要である。また鉤歯が補綴処置される場合には、歯科技工士(以下テクニシャン)がレスト形成や軸面形成を行った、いわゆるマウスプレパレーションが施されたクラウン、すなわち“サベイドクラウン”が口腔外で製作されることになる。 しかし現在の歯科技工業界においては“専門性の特化”からクラウンワークを主にするテクニシャン(以下クラウンテクニシャン〔セラミスト含む〕)とデンチャーFeature article #2サベイドクラウンテクニシャンのための小山邦宏株式会社デンタラディア大阪府高槻市真上町1-13-11 木村ビル2FQDT Vol.42/2017 May page 0778

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