QDT 2017年7月
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86Feature article #2 パーシャルデンチャーにおけるCAD/CAMは、印象をラボ用スキャナーで取り込み、CAD上でメタルフレームの設計を行い、3Dプリンターでワックスパターンを製作後、鋳造またはミリングという流れが主流となるだろう(図14)。 一方、近年進歩が目覚ましい総義歯に関しては、Merz Dentalという会社がBaltic Denture Systemという画期的なソリューションを提供している。すなわち、本システムでは、あらかじめ3つのサイズの上下顎既製義歯を用意し、それを用いて印象、咬合採得、フェースボウ・トランスファーを行うことで、1回の通院で義歯が完成するというものである(図15)。しかしながら、慎重な日本人が製作する際には、3Dプリンターで試適用の義歯を製作し、顔貌や咬合関係などの確認を行うことになるだろう。最大の利点はその印象法にあり、トレー自体が義歯の形態をしていることで動的な印象採得を行いやすいだけではなく、インサイザルエッジポジションの決定もしやすい。咬合採得が完了したら、その状態のままラボ用スキャナーでスキャンを行い、CADソフトウェアにインポートする。CAD上で、フェースボウ・トランスファーの情報とインポートし、辺縁の決定、顆路角を含めた側方運動様式の調整や人工歯の排列を行う。ポストダムの付与やアンダーカットのブロックアウトなども非常に容易だ。人工歯を接着した床用レジンディスクをミリング機にて内面と概形のみを削り出し、最終的には歯科技工士が細部の調整・研磨を行う(図16)。近い将来には、上下顎前歯部のみにCAD/CAMによるカスタムメイドの人工歯を用いることが可能となり、より患者の個性に合わせた口元が再現できるようになるとのことである。図14a、b パーシャルデンチャーにおけるCAD/CAMは、印象をラボ用スキャナーで取り込み、CAD上でメタルフレームの設計を行い、3Dプリンターでワックスパターンを製作後、鋳造またはミリングという流れが主流となるだろう。CAD/CAMデンチャーabQDT Vol.42/2017 July page 1106

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