QDT 2017年9月号
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である。 補綴物が非常に薄い場合や、ひとつの補綴物の中で層の厚みが不均等である場合にも、新技術にともなって開発される新しい作業工程によって容易に製作することができるようになったが、それにともない歯科技工士は、技工室で使用される材料の技術的な要件と機械的な限界についての正確な知識をもつ必要性に加えて、歯科医師との適切なコミュニケーションのために、支台歯形成の可能性と接着に精通している必要性が求められている。 できる限り歯質を温存するために、歯科技工士は時に「メーカーの指示を超えて」までも補綴物を完成させることもある。患者には選択肢が与えられなければならない。・低侵襲性だが将来破折のリスクがあることを承知するか。・堅実だが侵襲が大きくなる方法をとるか。 こういった配慮は、新しい補綴装置を装着される患者に対する歯科技工士としての倫理と責任の観点から不可欠である。 プレスセラミックスの技工における日々の作業を快適(スムーズ)に行うために、筆者らは薄く脆いワックスパターンの代わりとなるさまざまなテクニックを試みてきた。August Brugueraの症例9のように、耐火模型上に直接モデリングしプレスする方法も試してみた。 その結果、それぞれの作業工程にかかる時間と失敗率が少ないという観点から、筆者らはコンポジットモデリングによるプレスセラミックテクニック(築盛ありと築盛なし)を考案し、数年にわたって自身のラボで使用してきた。本稿ではその作業記録とコンポジットパターンを使用したプレスセラミックテクニックの可能性を、詳細に提示したい。作業工程 極度に薄い補綴物のロストワックス法での製作は、模型上でも安定せず変形してしまうため、いかに多くの経験を積んでいたとしても非常に難しい。パターンを厚めに作り、エッジのチッピングや穿孔のリスクを冒して削合するか、もっと別な、作業中安定していて壊れにくい、よりプレスに適した材料を見つけるか、どちらかの可能性が考えられる。 筆者らはプレステクニックのために、焼却残渣のない種々のコンポジットレジン材料での実験を行った(図1)。最も優れていたのはCeramill Gel(AmannGirrbach、図2)で、粘度があるためカニューレ(管)から直接模型上で操作することができる。これ図1 コンポジットレジン材料の残渣を示す、プレス後の二ケイ酸リチウムテストパターン。図2 Ceramill Gel:焼却残渣のないコンポジットレジン材料。4545QDT Vol.42/2017 September page 1397

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