QDT 2017年10月号
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98図5 ブロックの形状。図6 ドリルの圧力によるブロックの変形。圧力ドリル商品名等寸法:a<b<cスリットノッチabc向の2ヵ所にノッチが付与され、OEM製品と区別が可能である。1ノッチのものは、一般的にオープンシステムのミリングマシン用として販売されているが、ノッチは文字の印字されている最も広い面積側か、その180°反対方向に付与され、通常、歯頚部側か咬合面側にミリングされる(図5)。KZR-CAD HRブロック2のSおよびMサイズは、90°の角度差がある2ノッチの治具が特徴で、ブロックをミリングマシンに90°向きを変えて装着することで、歯冠長と歯冠幅径を入れ替えた切削が可能であり、小さいブロックでさまざまな形状の小臼歯を製作するための工夫がされている。このほか、ノッチの位置を90°ずらした2種類のブロックを販売しているペントロン社のヴェリコムMAZIC Duroもある。いずれもミリングマシンにブロックを装着する時には、このノッチおよびスリットを目印にする。また、松風ブロックHC2レイヤーではスリット側にエナメル色が配色されている。このような多層の色調を有するブロックでは特に、装着時の方向に注意が必要である。 この治具の形状により使用できるミリングマシンが決まるが、そのことがかえって購入者にとっては選択の複雑さを増すため、統一した形状が望まれる。また現在は単冠を想定したブロックになっているが、将来、連結冠やブリッジが保険導入された場合は、ブロックの長軸が長くなり、片持ちの治具ではドリルの切削時の圧力によって変形が起き、精度に問題が起きることも想定される(図6)。4)価格について あくまでも定価ではあるが、1,800~4,000円と、サイズやグラデーションの有無によりメーカーでかなりの幅が認められる。CAD/CAM冠は保険治療で、その点数は形成から装着まで2,503点と一律である。FMCの1,182点に比較し、1,321点の開きがあるものの、使用に問題がないのであれば、低価格の商品を選択されても無理はないと考えられる。しかし、研磨後の光沢度や脱離破損等の予後により、歯科医師側および歯科技工士側の選択があり、かならずしも価格のみで選ばれているのではないようである。5)フィラー含有量および主成分について 「シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの2種類のフィラーの合計が60%以上」との規定はあるものの、各ブロックの添付書類に記載されているフィラー含有量や主成分およびその形状はさまざまである。それら成分の名称もシリカ微粉末、シリカ粉末、シリカ、長石系セラミックスおよび着色剤、顔料に見られるように統一性がなく、そもそも添付文書に、フィラー含有量や成分内容の記載がないブロックも認められる。今後の改善が待たれる。QDT Vol.42/2017 October page 1588

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