QDT 2017年12月号
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29CAD/CAM修復の接着を整理する ―基本を理解した実際の使いこなし―29 近年の歯科治療における歯科用CAD/CAMシステムの広がりには、目を見張るものがある。こうした中、術者は高品位なCAD/CAM補綴・修復物を患者へ提供するため、接着を筆頭とした知識と技術を習得する必要がある。 シリカ系セラミック材料やハイブリッド系の脆性材料は、患歯へ強固に接着することでその性能を発揮してきた1(図1)。またジルコニア補綴・修復物治療にしても、脱離などのトラブルを防ぐためには治療対象歯へ強固に接着することが重要である。近年の補綴・修復治療は、材料を問わず最小限の歯質削除にとどめるMIコンセプトに則して行われている。ここにおいても接着の知識はたいへん重要となる。 今回、本編ではこれらを達成するために、CAD/CAM修復に必要な接着を、できるだけ簡単かつトータルとして理解することを目的に解説したい。 接着を応用した治療を行うにあたり重要なのは、多様化する接着システムのステップと被着体(歯質や補綴・修復物)をよく理解することである。①被着体である歯質の構造を知ることが重要 接着に関して、その対象となるのはエナメル質と象牙質である。エナメル質に対する接着は、そこに含まれる無機質が95%程度であるという構造から「リン酸エッチング」を行う2ことによって良好な結果を得ることができる(図2)。 リン酸エッチングは、エナメル質の無機質を脱灰し濡れ性を向上させる。エナメル小柱と小柱間質の石灰化度の違いによってエッチング効果に違いが起こり、エナメル質表面を粗造とする3。この粗造面にボンはじめに ─CAD/CAM修復における接着について─1.接着の基本(各種処理について)長期経過に裏付けられたCAD/CAM修復の信頼性図1 上顎臼歯部のセラミックインレー症例。₇は20年前に、また₆はこの撮影の2週間前に装着された。いずれも、チェアサイド型CAD/CAMシステムによって直接法で製作されたインレーである。双方ともにシリカ系セラミックブロックを使用し、接着には歯面処理併用型接着性コンポジットレジンセメントを用いている。QDT Vol.42/2017 December page 1863

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