QDT 2017年12月号
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96連載 部分床義歯を究める96松本勝利 Katsutoshi Matsumoto歯科医師・医療法人社団慈愛恵真会 あらかい歯科医院福島県南会津郡南会津町関本下休場729‐1 歯列欠損を拡大させないという目標も含め、鉤歯を喪失させないことは非常に重要である。そして鉤歯を守るためには鉤歯に大きな負荷がかからないようにしなければならない。 局部床義歯において鉤歯が喪失していく大きな原因のひとつとして、咬合時に局部床義歯部が沈下してしまうことにより、床下粘膜と鉤歯の沈下量の差が発生し、鉤歯に大きな為害的な作用力が働いてしまうことが挙げられる。それらを起こさせないようにするために、レストの設定位置を工夫して決定することは重要なことである。 そして、部分床義歯の設計順序は非常に重要である。順序としてはまず第一に、支持をかならず設計する。すなわち、まずどこの位置にレストを置くか必ず考えることである。この時に、レストの多くは局部床義歯の構造体である大連結子とコネクトするケースが多く、そのコネクト部が把持部の構造体となることも考慮に入れて行うことがとても重要である。 次に、支持の設計が終了したら把持を設計し、最後に維持を設計する。この順番を遵守して設計を行っていくことがとても重要であるにもかかわらず(図1)、支持の設計の後にすぐに維持装置の設計を行っているケースを散見する。バックアクションクラスプが良い、ローチクラスプが良い、Iバーにするにしてもクラトビルだ、いやクロールだということが議論されるが、支持の設計の次に重要なことは把持の設計である。維持は上顎の義歯が重力により外れない程度にあればそれで良いと筆者は考えている(維持装置の設計要件につ 1総義歯の設計順序は支持→把持→維持部分床義歯を究める連載第2回 部分床義歯設計の概念①―総義歯の設計順序とレストの基本―SPEAKER’S ARTICLECホール10/7(SUN)午後Q‌D‌T第8回 日本国際歯科大会2018SPEAKER’S ARTICLE10/6(SAT)午後第8回 日本国際歯科大会2018DホールQDT Vol.42/2017 December page 1930

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