QDT 2018年2月号
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セラミッククラウンの色の調和 インターナルステインと画像合成試適をもちいた製作法(中) インターナルステインテクニックは、1987年に青嶋氏により考案・発表された、陶材築盛における色表現技法のひとつで、“歯冠色陶材焼成後の表面に歯冠色陶材と熱膨張率が近似した内部専用ステイン材を用いて色補正や個性表現などのステイニングを行い焼成。焼成後、外層に歯冠色陶材を築盛・焼成することでステイン層を内部に位置させる方法”である。本技法を用いることの最大の利点は、陶材築盛のみを用いた多色築盛法とは違い、一部の色補正およびキャラクタライズ後の色の確認が“焼成前に可能”な点にある。つまり、多色築盛法に要求される経験則やテクニックセンシティビティが大きく軽減された技法だといえる。本技法の詳細は、すべて青嶋氏の文献1に書かれているためそちらを参照されたい。 現在、筆者はクラレノリタケデンタル株式会社の販売するインターナルステイン材(図1)を使用している。使用する理由としては、同社のインターナルステイン材は、各種前装用陶材の個々(メタル用、ジルコニア用、またこれらの低融点用)に熱膨張を近似させた製品構成を展開しているからであり2、これはクラックの発生や築盛用陶材の剝離などのトラブルを回避し、安定した補綴装置を製作するための必要最低限の要件だと考えているからである。 ノリタケインターナルステインの粒径は約5μm(歯冠色陶材の粒径は30μm)で、顔料となる酸化物の添加量の違いを除き、歯冠色陶材とほぼ同じ組成であるため、歯冠色陶材と熱膨張が一致している(図2)。 図3は、各社のステイン材をインターナルステインテクニックに見立てた方法で歯冠色陶材間にステイニングを行い、焼成後の結果を比較したものである。ステイン材が薄い場合には問題を生じないが、厚みが増すと熱膨張の差が原因で問題が生じる確率が上がることが理解できる。 一般にインターナルステイニングは極薄い着色処理インターナルステインテクニックとノリタケインターナルステインの特徴図1a、b 天然歯に観察されるさまざまな個性的特徴を表現できるノリタケインターナルステイン。bは筆者が日常臨床で使う色を専用液で練和した状態。ba63QDT Vol.43/2018 February page 0241

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