QDT 2018年2月号
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生体デジタルデータの臨床での活用81 先進医療において著しく発展を続けている工学・情報科学を取り入れることは重要である。医科ではDa VinciやiArmSのような治療支援ロボットや、ICT技術やロボットを総合的にシステム化したスマート手術室などが実応用されている1。歯科医療では口腔機能の回復と維持に向けて技工・材料主導に加え、近年では歯工連携が取り込まれており,歯科用CAD/CAMシステムは急速に臨床で活用されている。また、インプラント治療においてはComputed Tomography(以下、CT)を用いた検査・診断や埋入シミュレーションが行われているように、患者に安心安全な治療を施すためにデジタルテクノロジーが歯科医療全体の診査・検査・治療に組み込まれていくことが予測される。 デジタルテクノロジーは、データの入力、処理、出力の3工程からなり、歯科用CAD/CAMシステムでは歯列模型や口腔内のスキャニング、補綴装置のモデリング、補綴装置のミリングに相当する(図1)。デジタルテクノロジーは幅広く臨床に活用することができ、顎顔面歯列形態のデジタル化、咬合状態のデジタル化、コンピュータ内での形態解析やシミュレーション、手術支援模型の製作などが可能となる。 広島大学歯学部口腔健康科学科口腔工学専攻(以下、口腔工学)は4年制の歯科技工士養成大学であり、歯科技工知識・技術の修得に加え、工学や生物学などの知識や技術も修得する教育を行っている2。また、口腔工学はデジタルテクノロジーを用いて広島大学病院の補綴歯科、小児歯科、矯正歯科、保存歯科、口腔外科と連携をとって臨床や研究を進めている。本稿では口腔工学におけるデジタルデンティストリーの展開について紹介する。さらに広島大学病院における口腔工学と医科の連携による診療支援や再生医療とデジタルデンティストリーの融合についても報告し、歯科技工士の展望について述べたい。図1 歯科におけるデジタルワークフロー。はじめに入力スキャニング処理モデリング出力ミリングQDT Vol.43/2018 February page 0259

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