ザ・クインテッセンス10月
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55 歯周病に罹患した歯の臨床診査において,エックス線写真による骨欠損の診査は病的歯周ポケットの診査と並び重症度の判定のみならず処置方法の決定において重要である.とくに歯周外科へ踏み切るケースでは,術前に骨欠損の形態9~13をイメージしておくことで外科処置の決定や切開線の決定を行ううえで大きな指標となる(図C). 従来,術前における骨欠損の診断ではデンタルエックス線写真,パノラマエックス線写真,そしてプロービングテプス,ボーンサウンディングによるイメージング,さらには術者の読影能力に依存していた.とくに,デンタルエックス線写真をより鮮明に規格性をもって撮影することにより,病変の把握を行うことができたが,それらのある部分は経験的ないわゆる『カン』であったり,デンタルエックス線特有のトリックであったり,急性炎症時などのように骨の形態に反してエックス線上で大きく吸収像として捉えられてしまうなどの問題点があった.すなわち,エックス線写真上の黒化度は必ずしも骨吸収を反映しているわけではなく,場合によっては軽度に,場合によっては重篤に映し出されることもしばしばである.そこで,これらの問題点についてもう一度整理しながら,デンタルCTによる診断の特性14~16について言及したい.従来の二次元的なエックス線診断による評価 今日でもデンタルエックス線写真による詳細な診断,治療の評価はわれわれの歯科治療においてもっともポピュラーかつ重要な診断ツールであることはいうまでもない.鮮明で規格性のあるデンタルエックス線は何よりも重要な情報を与えてくれる.また,メインテナンスフェイズにおいて1年ごとに撮影されるデンタルエックス線によって治療後の経過観察を行うことができると同時に,われわれの行った歯科治療の反省材料となり,また新たな進歩をもたらす(図D1~3)17~19. 歯周治療におけるデンタルエックス線写真によるthe Quintessence. Vol.29 No.10/2010̶2229 歯周基本治療図C 歯周基本治療とイメージング.基本治療時に得られた情報特別企画ペリオからの逆襲! Part3CTを有効活用した新時代の歯周治療歯周基本治療原因因子の可及的除去プラークコントロール個体差の確認口腔内写真精密検査デンタルエックス線写真イメージスケッチ①歯肉の炎症の改善●OHI●スケーリング・ルートプレーニング●ホープレスの歯の抜歯●薬剤による炎症改善など②咬合性外傷に対する処置●咬合調整●歯冠形態修正●暫間固定●暫間補綴による咬合支持,安定●ブラキシズムへの対応③プラークリテンションファクターの改善●不良補綴物の除去●食片圧入の改善●歯列不正の改善●エナメル突起などの改善++++6465356355357654666556445545+++++++5654644364447654436366535433++++

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