ザ・クインテッセンス3月
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101the Quintessence. Vol.30 No.3/2011̶0581はじめに インプラント審美修復の成功とは,適切な歯冠形態と色調の再現はもとより,隣接そして同名天然歯とインプラント周囲組織との調和を図ることである.審美的に重要な唇側歯肉と歯間乳頭の形態と高さは,歯肉の厚みとインプラント特有の生物学幅径成立後の骨レベルに影響されることは周知の事実である.そのなかでも,歯間乳頭の高さは,隣接する修復物の種類によって影響を受けるため,術後結果に大きな違いが生じるのが現状である.そのため,多数歯欠損における補綴設計プロトコルは,ポンティックの応用が推奨されている.一方,2歯欠損など,やむなくインプラントを並列しなければならない症例においては,現時点では明確な治療計画・外科的および補綴的プロトコルは確立していない. そこで,本稿では,インプラント間において歯間乳頭の再建に限界があると認識されているインプラント‐アバットメント連結部が,同径の従来型(以下CVと略)に対して,インプラント周囲骨の吸収が少ないと報告されている連結部のマイクロギャップを内側に移動したプラットフォームシフティングシステム(以下PSと略)における歯間乳頭の再建の可能性を検証するとともに,外科的・補綴的治療戦略について考察してみたい.1歯間乳頭の生物学的背景 天然歯の歯間乳頭の高さは,dent-gingival-com-plex,歯肉のbiotype,そして歯根の近接度合いによって左右される.歯槽骨頂からコンタクトエリアまで5.0mm1,歯間乳頭頂までは4.5~5.0mm(図1)2,さらに,歯周外科3年後でも,4.33mm3まで回復すると報告されている.これらの数値的基準を参考に修復治療を行うことで,長期的にも安定した結果を得られることが多い. 一方,インプラントにおいてはどうであろうか.単独歯欠損の歯間乳頭の高さは,隣接する天然歯の骨頂レベルによってその再生距離が決定され4~6,天然歯列の場合と同様に約5.0mmまでの回復を得られ,予知性も高い(図2).多数歯欠損の場合は,インプラント間の歯間乳頭再建に対する外科的・補綴的治療戦略小濱忠一福島県開業 小濱歯科医院連絡先:〒971‐8151 福島県いわき市小名浜岡小名2‐4‐10Surgical and Prosthetic Strategies for the Interimplant Papilla Preservationキーワード:インプラント,歯間乳頭再建,外科的治療戦略,補綴的治療戦略Tadakazu ObamaTHE STRATEGYTHE STRATEGY

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