ザ・クインテッセンス12月
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68■対談の目的中島:近年の歯科界は,歯科医師(医院)過剰,歯科医師のワーキングプア,歯科診療報酬点数の引き下げなど,芳しいニュースがありません.そのような社会情勢ですので,医院経営をなんとか成り立たせようと,高額な報酬が期待できる歯科治療技術の習得に余念がなく,その受け皿となるセミナーは花盛りな状況です. このこと自体は結構だと思うのですが,同時に憂慮すべき問題もあるように思います.そのようなセミナーに執心する若い歯科医師等をみていると,技術のみに目がいって,肝心な部分を学び忘れているような気がしているのです. 個人的には,セミナーを通して,技術(モノ)だけでなく,彼ら主宰者の背景にある高い道徳・倫理観や深い歯科医療哲学・理念(コト)をも学んでほしいと思うのですが,受講者の意識や主宰者側の時間的な問題など,さまざまな事情から叶わないことが多いようです.その結果,せっかく得た高い歯科治療自体が枝葉末節,本末転倒なものになっていると感じられることがあります. そこで私は以前から,斯界のマエストロ(巨匠)と目されるようなすばらしい歯科医師の方と技術的なことは抜きにして,歯科医療の本質的な部分を明らかにできるような対談をしたいと考えていました.そこで昨今の歯科界でもっとも多くの議論がなされているインプラントについて,菅井敏郎先生(東京都開業)を指名させていただきました.本日はどうぞよろしくお願いいたします.菅井:こちらこそ,よろしくお願いいたします.菅井敏郎1978年 松本歯科大学卒業,大阪大学歯学部口腔外科医員1986年 大阪大学歯学博士1990年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)臨床フェロー1992年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)客員准教授1998年 医療法人UC会設立2002年 東京医科歯科大学臨床教授UCLAインプラントアソシエーションジャパン会長,日本顎顔面インプラント学会理事・指導医,日本口腔インプラント学会代議員,日本顎咬合学会評議員・指導医AO International committeeほか×中島榮一郎(聞き手)1970年 日本大学歯学部卒業.1972年 東京医科歯科大学専攻過程終了(歯科矯正学).1972年~1974年 Drs. Galblum & Suyehiro Orthodontic Office(米国)1974年 中島矯正歯科クリニックを開業(東京都)1981年~1982年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)客員教授(歯科矯正学).2007年 台北医科大学臨床教授(歯科矯正学)2009年 ハーバード大学にて特別講義.「矯正YEAR BOOK」(クインテッセンス出版)代表編集委員日本矯正歯科学会会員対談:歯科医療の本質はどこにあるのか?─インプラントのマエストロ(巨匠)に聞く─菅井敏郎*1×中島榮一郎*2(聞き手)*1東京都開業 医療法人UC会銀座UCデンタルインプラントセンター/*2東京都開業 中島矯正歯科クリニック連絡先:*1〒104‐0061 東京都中央区銀座4‐12‐19‐7F/*2〒113‐0034 東京都文京区湯島2‐33‐1‐1Fキーワード:医療哲学,医療理念,インプラント,顎顔面補綴本欄は,本誌が扱うテーマ,論文等について議論を深め,さらなる情報,思索の発展を目指して企画されたものです.Guest EditorialGuest EditorialGuest EditorialDecember 2011特別編the Quintessence. Vol.30 No.12/2011̶2690

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