ザ・クインテッセンス1月
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THE VERIFICATION今まで行われてきた治療法について,長期経過症例・文献をもとに,その適応と効果を「検証」し,さらに今後の展望を考察する.検証の時代はじまる 審美歯科修復治療の分野では,これまでメタルセラミッククラウンが広く用いられてきた.近年これに加えて,さらに色調再現性や生体親和性にすぐれる,プレスセラミックスやジルコニアを用いたオールセラミッククラウンが出現し,飛躍的な進歩を遂げた.審美歯科修復は,時としてセラミック補綴装置それ自体の形態・色調・自然感のみが評価の対象となりがちである.しかし,それはあくまでも機能的であることが最低条件であり,さらには健康な歯周組織との調和がなければ,その治療結果は失敗といわざるをえない. 審美歯科修復処置における評価のなかで重要な項目の1つは,補綴装置の永続性があげられる.その永続性に大きく影響するのが,歯周組織の炎症である.補綴装置辺縁歯肉の炎症により,歯周ポケットが深くなり,歯肉退縮や歯槽骨の吸収を引き起こすことが知られている1.補綴装置と歯周組織の調和のためには,長期にわたって炎症がなく形態的変化がないことが絶対条件となる.すなわち,プロービング時の出血がない,歯肉の発赤・腫脹・退縮を認めないことが重要である.特別な器具や方法によるものでなく,シンプルなブラッシングによるメインテナンスで,長期的に変化がないことが望ましい. 修復治療において,以下にあげる多くの因子が,歯周組織に影響を及ぼすと報告されている2~4.修復治療において歯周組織に影響を及ぼす因子① 歯肉のバイオタイプ(遊離歯肉および付着歯肉の厚み,幅径)②biologic width(生物学的幅径)③ biologic variables(歯槽骨頂の位置:high crest,normal crest,low crest)④口腔衛生管理の状態⑤個々の歯周組織の抵抗性(宿主側の因子)⑥ 補綴装置のマージン設定位置(歯肉縁上,歯肉縁,歯肉縁下)京都府開業 きばやし歯科医院連絡先:〒617‐0826 京都府長岡京市開田1‐21‐21木林博之The Interface of Restorations and Periodontal Tissue:The Verification of the Subgingival Contour which can achieve Tissue StabilityHiroyuki Kibayashiキーワード:歯周組織の炎症,サブジンジバルカントゥア,カントゥアガイドライン,ジンジバルスキャロップ補綴装置と歯周組織の接点(前編)──Tissue Stabilityを獲得できるカントゥアを検証する1.補綴装置と歯周組織の調和を再考する117the Quintessence. Vol.31 No.1/2012̶0117

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