ザ・クインテッセンス3月
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明度コントロールから理解する前歯部コンポジットレジン修復明度コントロールから理解する前歯部コンポジットレジン修復144FUNDAMENTAL COMPREHENSIONはじめに 本連載は,前歯部コンポジットレジン(以下,CR)修復の色再現における明度コントロールの重要性を解説するものである.第1回(1月号)では,明度の定義や天然歯のもつ内部構造を考察して,天然歯とCRの明度の相違を,そして各種CRのもつ光透過性と厚みの違いがもたらす明度の変化を解説した. 今回は前回を踏まえて,とくにⅤ級窩洞と正中離キーワード:コンポジットレジン,明度,光透過,Ⅴ級窩洞,正中離開青島徹児埼玉県開業 青島デンタルオフィス連絡先:〒358‐0011 埼玉県入間市下藤沢484‐25Understanding the Direct Bonding Restoration from Value Control Part 2. Guidelines for Value Control of Class V and Diastema RestorationTetsuji Aoshima第2回 Ⅴ級窩洞,正中離開のCR選択の指標(全3回・隔月掲載)開の修復に対するCRの選択法について,筆者の考え方を述べてみたい.1.明度調和の鍵 前号でも述べたように,天然歯は象牙質とエナメル質とでそれぞれ光透過性が異なる(図1).そして,現在のCRには,これら天然歯のもつ光透過性に各々近似させた豊富なシェードバリエーションがあり,各々のCRを解剖学的な指標に基づいて充填していくことで残存歯質との色や明度の調和を達成しようというのが基本的なコンセプトである. しかし,臨床ではすべての症例において解剖学的な指標に従って,各々のCRを当てはめればいいというわけではない.必ずしも,象牙質相当部の窩洞にオペークを,エナメル質相当部にトランスルーセントやクリアを選択すればいいという単純なものではないのである. なぜなら,CR修復を行う歯の明度は,CRのシェードだけではなく,残存歯質,とくに象牙質の影響をも受けるからである.当然,その影響の割合図1 第一小臼歯を0.5mm厚でスライスカットした写真.天然歯のエナメル質は透明度が高く,それに比べて象牙質は大きく不透明であることがわかる.BeforeAfterthe Quintessence. Vol.31 No.3/2012̶0624

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