ザ・クインテッセンス5月
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79子どもたちをう蝕・不正咬合から守る!連載萌出の異常に対する治療法を身につける! 成長発育の段階に現れる異常をそのまま放置しても決して正常な永久歯列にならない.正常な咬合になるためには,乳歯列期から交換期を通じて正常に発育することが重要で,異常であった咬合が自然に正常な咬合になることはきわめて稀である.本稿を読み進めていく前に再度確認していただきたいのは,本連載第1回(1月号)で示した成長の各ステージの正常像である.目の前にいる子どもの現在の状態が正常なのか異常なのかを正確に見極めることが大切である. 以前から咬合誘導という概念があり,成長期の子どもたちを正常な咬合に導いていくことだと理解して実践してきた.卒直後に前歯部の逆被蓋の改善を見よう見まねで行ってみると,いとも簡単に改善することができた.当時は,大人になったときに正常な永久歯列になる助けになると信じて行っていたわけだが,実際に成人まで経過を追えていたわけでもなく,そのような症例報告を誌上で見ることも少なかった.矯正専門医からは一般開業医が咬合誘導に安易に取り組むことの危険性を指摘する声も聞かれ,本当に成長期に行う咬合誘導が成人の正常咬合獲得に意味のあることなのかどうか不安は残っていた. しかし,開業し年月を重ねてくると,成長期に行った咬合誘導が成人の口腔内にとても良い結果を残している症例を数多く経験するようになってきた.それとともに,うまくいかなかった症例も経験し,咬合誘導の有効性と限界を認識するようになった.子どもたちの口腔の管理を任されたのであれば,「やらないよりやったほうがマシである」という態度で子どもにかかわるのではなく,確実に正常な咬合状態に導く技術を身につけていきたい.今回は萌出の異常に対する治療法を紹介していく.須貝昭弘キーワード:萌出の異常,逆被蓋,鋏状咬合,床矯正装置,リンガルアーチ,レジン接着法3萌出の異常に対する治療法~床矯正装置,リンガルアーチ,レジン接着法~神奈川県開業 須貝歯科医院連絡先:〒212‐0016 神奈川県川崎市幸区南幸町2‐8‐1 オーベル川崎101号the Quintessence. Vol.31 No.5/2012̶1015

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