ザ・クインテッセンス5月
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吹譯景子 Keiko Fukiwake九州大学大学院歯学研究院口腔病理学教室・特別研究員連絡先:〒812‐8582 福岡県福岡市東区馬出3‐1‐1吹譯景九州大学連絡先:イラストで学ぶ第3回 免疫の仕組み“カラダ防衛軍”のはたらきエンドのバイオロジーエンドのバイオロジーキーワード: 自然免疫,獲得免疫,自律神経の免疫支配156免疫ってなに? 今回のテーマは「免疫」です.エンドの臨床はとても不思議なことだらけです.“ど”がつくほどアンダーな根充でも,かつての綿栓根充でも,治療後何十年にもわたって根尖病変ができていないこともあれば,逆に二次元のエックス線的には根尖部に何ら問題がないように見えても,補綴して噛めるようになった途端,症状がでることもあります.これは一体どういうことでしょうか? 「不完全な根充でも治ることがあるのはなぜか?」 「長い間問題なかったのに,急に症状がでることがあるのはなぜか?」 それには免疫が深くかかわっています.私たちの生活はつねに「起炎物質や細菌」と「免疫」とのせめぎ合いなのです.根管治療のゴールとは? 免疫の仕組みについてお話しする前に,根管治療のゴールについて考えてみます. 根管治療のゴールとは? 治療した歯が症状なく快適に噛めることはもちろんですが,ゴールはあくまで「正常像」です(図1).そのゴールへ向かう過程図1 デンタルエックス線写真における正常像(下川公一先生による)1. 歯根全体が歯槽骨内に植立されている.2. 鮮明な歯槽頂線と歯槽硬線の連続性が直角的に認められる.3. 鮮明な歯根膜線と歯槽硬線が,できる限り薄く均等な幅で確認できる.4. 明瞭かつ鮮明な歯槽骨梁が認められる.5. 上顎臼歯部では,上顎洞底線が明瞭に認められる.the Quintessence. Vol.31 No.5/2012̶1092

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