ザ・クインテッセンス5月
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明度コントロールから理解する前歯部コンポジットレジン修復明度コントロールから理解する前歯部コンポジットレジン修復164FUNDAMENTAL COMPREHENSIONはじめに 本連載は,前歯部コンポジットレジン(以下,CR)修復の色再現における明度コントロールの重要性を解説するものである.第1回(1月号)では,明度の定義や天然歯のもつ内部構造を考察して,天然歯とCRの明度の相違を,そして各種CRのもつ光透過性と厚みの違いがもたらす明度の変化を解説した.第2回(3月号)では,Ⅴ級窩洞と正中離開の修復に対するCRの選択法について,筆者の考え方を述べた. 最終回の今回は,前歯部CR修復において臨床上もっとも頻度の高いⅢ級窩洞,Ⅳ級窩洞における明度を考慮したCRの選択基準について,筆者の考えを述べてみたい.なお,前回同様,本稿ではCRのシェードを表す名称を「プレミス」(Kerr社製,サイブロンデンタル)の製品名称に従って解説していく.キーワード:コンポジットレジン,明度,Ⅲ級窩洞,Ⅳ級窩洞青島徹児埼玉県開業 青島デンタルオフィス連絡先:〒358‐0011 埼玉県入間市下藤沢484‐25Understanding the Direct Bonding Restoration from Value ControlPart 3. Guidelines of Value Control for ClassⅢ and Ⅳ RestorationsTetsuji Aoshima第3回 Ⅲ級およびⅣ級窩洞のCR選択の指標(全3回最終回,隔月掲載)1.Ⅲ級窩洞における明度コントロールの考え方 本連載第2回(3月号)において,CR修復を行う歯の残存歯質とCRの明度の調和には,各々の症例における残存歯質,とくに象牙質の残存量が大きく影響を与えると述べた.そのような観点で考えてみると,Ⅲ級窩洞は多くの場合,厚い象牙質層が残存していないため,いくつかのシェードのCRを用いて,欠損部の解剖学的な色の構造にならった充填操作を行わなければならない. Ⅲ級窩洞における残存歯質との明度調和において重要なのは,まず,残存歯質の正確なシェードテイキングとそれに応じたCRの選択である.しかし,本連載第1回でも述べたように,残存歯質と完全に一致した光学特性をもつCRは存在しないので,これをできる限り残存歯質と調和させる工夫が必要になる. そこで考えられるのが,ベベルの付与である.筆者は,唇側の形成時に,CRの厚みがフィニッシュラインに向かうにしたがい,だんだんと薄くなるBeforeAfterthe Quintessence. Vol.31 No.5/2012̶1100

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