ザ・クインテッセンス8月
6/8

119new topics—Dogma Change名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座顎顔面外科学連絡先:〒466‐8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65片桐 渉/上田 実Challenging for Dogma Change of Regenerative MedicineWataru Katagiri, Minoru Uedaはじめに:歯科と再生医療,GTRから細胞移植まで 失われた骨,歯周組織を回復することは長年にわたり歯科医師にとっての課題であり挑戦であった.歴史的にみて,歯科医師は経験的かつ科学的にさまざまな治療法を考案し,実践してきた.骨移植,補填材移植にはじまり,GTR法,GBR法,エムドゲインなど,すでにこれほど「再生医療」が広く一般化している分野は他にないといっても過言ではない. 再生医療には組織工学的手法が必要不可欠であり,細胞・成長因子・足場の3要素が組織再生の要とされている(図1)1.なるほど,たとえばBio-Oss®やβ‐TCP(β‐3リン酸カルシウム)は骨伝導能を有する足場を提供し,GTR膜も軟組織を遮断することにより骨再生に良好な足場を提供する.エムドゲインや骨形成性タンパク(BMP-2),線維芽細胞増殖因子(FGF-2),血小板由来増殖因子(PDGF)などはコンセプトこそ異なるものの,いずれも骨再生に有利に作用する「成長因子」であり,多くは適切な「足場」とともに用いられている.再生医療のドグマチェンジに挑む~幹細胞由来成長因子を用いた細胞移植をともなわない新しい骨再生医療~キーワード:骨再生医療,幹細胞,成長因子,細胞移植Tissue EngineeringSignalmoleculesCellsScaffolds組織工学の3要素図1 組織工学的手法を用いた組織再生には「足場」「成長因子」そして「細胞」の3要素が必要である.the Quintessence. Vol.31 No.8/2012̶1753

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です