ザ・クインテッセンス8月
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マイクロ導入までに若手Drが習得すべき6ステップ─ここまでやろう! 歯内療法マイクロ導入までに若手Drが習得すべき6ステップここまでやろう! 歯内療法184FUNDAMENTAL COMPREHENSIONはじめに:前回の復習から 今回はいよいよ根管形成の肝心な部分,根尖側1/3の形成へと移っていく.その前に前回(6月号),前々回(4月号)の復習をしよう.「歯冠側から」のアプローチどおり,根管口付近のコロナルフレア形成,その前のアクセスキャビティと合わせて,ストレートラインアクセスはきれいに整っているであろうか.根尖側でのファイル操作が容易にできるよう今一度見直して,必要があれば事前に修正しよう.1.作業長と作業幅,最終拡大号数の決定へ 根尖部の根管形成をするためには,まず作業長を決定しなければならない.作業長決定には,現在電気的根管長測定器が大変重要な役割を担っている.メーターの表記は各社で異なるが,通常Apexと表示されている位置は根尖孔を表し,根管形成の終末部位の目安として用いられる根尖最狭窄部ではない(図1).また,メーター値に単位はなく,Apexま田中利典/澤田則宏*/吉川剛正*1川勝歯科医院/*東京都開業 澤田デンタルオフィス/*1けやき歯科桜台診療所連絡先:〒167‐0051 東京都杉並区荻窪5‐18‐17Working Length Determination and Apical Third PreparationToshinori Tanaka, Norihiro Sawada, Gosei Yoshikawa作業長の確認から根尖側1/3の根管形成ステップ4(全6回・隔月連載)での距離(mm)を表しているわけでないので,注意が必要である.作業長の決定方法はある基準となるメーター値としたり,そこからある長さ(0.5mmなど)を減じたりと,機器によって異なる.詳細は各社の取扱説明書に委ねるが,根尖最狭窄部自体が理想的に存在しないこともあり得る1(図2).したがって過剰な器具操作や,無理な根管形成で根尖孔付近が破壊されることのないよう,細心の注意を払って器具を操作する. 近年,歯内療法の世界では根管の作業幅(working width)という考えが広まっている2.これは,根管断面は常に理想的な円形をしているわけでなく,むしろ楕円形や不規則な形態をしているものがほとんどであり,感染除去の際注意が必要である,というものである.実際の臨床では,たとえばファイル操作で抵抗感があっても実は短径で拘束されていて,長径にファイルが当たっていない状態が起こり得る(図3).そのため機械的清掃が十分に行えていない根管内面が存在してしまうことになる.この問題はなにも根尖付近に限ったことでなく,根管全体で見ても,機械的清掃が行えていない根管内面は少なキーワード: 根管形成,作業長,テーパー,バランストフォーステクニック,円周ファイリングthe Quintessence. Vol.31 No.8/2012̶1818

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