ザ・クインテッセンス9月
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87石本光則東京都開業 石本歯科クリニック連絡先:〒141‐0021 東京都品川区上大崎2‐17‐2 JR目黒グリーンビル5FPeri-Implantitis of HA Implant Is Able to Be Easily Controlled with Antibacterial Therapyキーワード:インプラント周囲炎,非外科的処置,治癒,抗菌療法,HAインプラントMitsunori Ishimotoインプラント周囲炎を非外科的処置により確実に治癒に導く抗菌療法によるHAインプラントの可能性EVALUATION OF THE ANTIBACTERIAL THERAPY はじめに インプラント治療が普及してきた現在,審美的,機能的回復の目的はある程度達成されたと考えられる.そして,その口腔内に存在するインプラントがいかに長期に維持され機能するかが今後の課題となってきている. インプラントが喪失する原因の1つとして,インプラント周囲炎1,2が挙げられる.しかし,そのインプラント周囲炎に対して,有効な処置法はいまだ報告されていないのが現状であろう.今回,障害性刺激因子(図1)3に起因する炎症により,インプラント周囲に骨吸収が認められたインプラント周囲炎の対処法について言及したいと思う. インプラント周囲の骨吸収は当然インプラント周囲の炎症により誘発されるわけであるが,その炎症の障害性刺激因子が力なのか感染なのかがよく議論となるところである.筆者の臨床では力(炎症の障害性刺激因子:物理的作用)により起こるインプラント周囲の骨吸収は,咬合調整などその原因を取り除くことで回復する現象をたびたび経験する(図2).このような現象は天然歯には認められることはなく,インプラント特有の現象と考えている.つまり,力による炎症のみでも骨吸収が起こる.天然歯の場合,歯根膜が存在して,力による炎症は歯根膜炎という病態として発症するが,歯根膜が存在しないインプラントは,その力の影響がダイレクトに骨につたわり,骨吸収という病態が生じても不思議ではない.図1 炎症の障害性刺激因子とインプラント周囲炎. 歯科界で頻繁に用いられる「炎症と力のコントロール」という用語は間違いで「力による炎症と感染による炎症のコントロール」と表現するべきである.・物理的作用 ・化学的作用・病原微生物の作用 炎症の障害性刺激因子細菌力インプラント周囲炎the Quintessence. Vol.31 No.9/2012̶1971

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