ザ・クインテッセンス9月
6/8

124はじめに 前回は,一般歯科診療のなかで閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome;OSAS)が疑われる患者に遭遇したときに,どのように医科へ紹介するのかを中心に説明しました. 今回は,OSASの確定診断のために医科において一泊入院の専門的な検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)を受けた患者さんが,医師の報告書と検査結果を持参して歯科医院に戻ってきた場面を想定して話を進めます. 慣れていないと少し戸惑うこともあるかと思いますが,①検査結果の解釈のポイント,②OSASの重症度にもとづく治療法の選択,について概説します.1.検査結果のどこをみる?──「睡眠の状態」と「呼吸の状態」の2つに注目 PSGについては前回も簡単に触れましたが,OSASの確定診断に到達するまでの流れを見てみましょう.検査結果レポートには見たこともない用語がずらりと並びますが,基本的には「睡眠の状態」と「呼吸の状態」に関する項目に大別されます. 少し復習ですが,OSASの確定診断には「日中の眠気もしくは閉塞型無呼吸に起因するさまざまな症状のいくつかをともない,かつ1時間あたりに無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index[AHI])が5回以上」とする米国睡眠医学会の基準が用いられています.つまり,検査を依頼された医師は,①日中の眠気の有無,②合併症の有無,③PSG検査で得られたAHI,を総合してOSASの確定診断を行い,治療方針を決定します. なお,第1回目にも述べたAHIとは,1時間あたりに10秒以上の呼吸停止(無呼吸)や1回換気量の50%以下への低下(低呼吸)が何回みられるかという指標で,これからもよく出てきますので忘れずに覚えておきましょう. OSASの重症度はAHIによって分類され,AHI第3回検査値と睡眠時無呼吸症候群の治療について小林美奈/對木 悟/井上雄一*公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究部/東京医科大学睡眠学講座/睡眠総合ケアクリニック代々木連絡先:*〒151‐0053 東京都渋谷区代々木1‐24‐10 TSビル1階Snoring and Obstructive Sleep Apnea for General Dental PractitionersPart 3 Polysomnography and the diagnosis/treatment of obstructive sleep apneaMina Kobayashi/Satoru Tsuiki/Yuichi Inoueキーワード: 閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS),終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG),無呼吸低呼吸指数(AHI),口腔内装置(OA),経鼻持続陽圧呼吸療法(nCPAP)医科‐歯科連携のスタートに!歯科医院における睡眠時無呼吸症候群の基礎と臨床the Quintessence. Vol.31 No.9/2012̶2008

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です