ザ・クインテッセンス10月
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摂食・嚥下障害評価のコツ13連載にあたって 超高齢社会である日本では要介護高齢者数が増加し,われわれ歯科医療従事者にとっても,従来の外来診療のみならず訪問診療の必要性は今後さらに高くなる.また,2012年6月5日に厚生労働省が発表した人口動態統計で,日本人の死因はがん,心疾患,肺炎の順となった.高齢者の肺炎の原因には“食べる機能”が低下した摂食・嚥下障害による誤嚥が重大視されている.そのような背景から食べる機能の正確な評価が今後ますます重要となる.今回のポイント 摂食・嚥下機能の精査には嚥下造影と嚥下内視鏡がある.いずれも優れた検査であるが,設備のみならず知識,技術および経験を必要とするため,成書を一読しただけでできるようになるものではない.ここではまず“誤嚥”をスクリーニングする簡便なテストを紹介する.訪問診療の場面等で,ムセ,痰,発熱,食事量や体重の減少など摂食・嚥下障害を疑わせる症例があればテストを行い,当たりをつけるところから始めるのがよいであろう.知っているだけで実践できますか?誤嚥のスクリーニングテスト戸原 玄/阿部仁子/中山渕利日本大学歯学部摂食機能療法学講座連絡先:〒101‐8310 東京都千代田区神田駿河台1‐8‐13キーワード: 摂食・嚥下障害,訪問診療,誤嚥,スクリーニングテストスクリーニングテストを実施する際のポイント ここで紹介するスクリーニングテストは,いずれも“誤嚥”のテストである.誤嚥には顕性の誤嚥と不顕性誤嚥,つまり誤嚥した際にムセが生じる場合と,生じない場合がある.後者であるムセが生じない不顕性誤嚥のスクリーニングには,今回紹介するテストでは不十分である.また,いずれにしてもスクリーニングの範囲を超えるものではないので,得られた結果を診断的な強さをもって利用しないように留意することが重要である.the Quintessence. Vol.31 No.10/2012̶2129

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