ザ・クインテッセンス10月
2/8

THE VERIFICATION今まで行われてきた治療法について,長期経過症例・文献をもとに,その適応と効果を「検証」し,さらに今後の展望を考察する.検証の時代はじまるはじめに 近年ようやく日本の歯内療法もグローバル化し,いびつな成長を遂げてきた日本の歯内療法“ガラパゴス”は崩壊しつつあるようにもみえる.ただ世界中を見渡しても,いまだに根管形成・根管充填のベストメソッドは存在しない.世界を導く米国の歯内療法専門医らの間でも画一的な方法論や手法は存在せず,根管形成,根管洗浄,根管充填に至るあらゆるプロセスで議論が繰り返されているのが現状である(図1~3). ここで本稿が問う考え方も所詮1つのパラダイムにすぎないかもしれない.しかし,“そういう考え方もある”という楽観的な見方が許されない局面もまた存在すると思う.究極的には治癒に導かれた臨床結果によってのみ判断されるべきだろう.本稿では根尖部へのアプローチにまつわる諸問題を中心に,現代的なファイルシステムがめざすべき根管形成のゴールを再考してみたい(図4~7).兵庫県開業 奥村歯科医院連絡先:〒650‐0001 兵庫県神戸市中央区加納町6‐6‐1 金沢三宮ビル4F奥村秀樹~Everything Old is New Again~Shaping for Success Verification of Root Canal Shaping Basic ConceptHideki Okumuraキーワード:ワーキングショート,プレエンラージメント,シングルファイル~Everything Old is New Again~成功する根管形成とは?根管形成のベーシックコンセプトを再考する1.根管形成の古典的なエラーはなぜ生じるか 平成17年度のデータ(図8)をみるまでもなく,再根管治療の比率が高いのは周知のごとくで,これほどまでではないにしろ,米国の専門医たちがイニシャルトリートメントばかりを行っているわけではない.再治療は,クラウンやコアの除去,ガッタパーチャを含む根管内異物の除去,穿通の3つのプロセスをふまえたうえで,これらに根管の形成・洗浄・充填というストリームを掛け合わせることで成立している.このうち,とくに最後の穿通を困難にしている事象が複雑で,また解決方法も画一的ではなく,洋の東西を問わず場合によってはもっとも時間を消費する局面となっている.それでは,臨床家を悩ますレッジやトランスポーテーションなどを含む広義の“ブロック”キャナルはなぜ生じるのか? 1つには根尖孔へのアプローチに対する誤った考え方が原因となっている. 近代歯内療法史以来,セメント‐デンティナル特別企画45the Quintessence. Vol.31 No.10/2012̶2171

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です