ザ・クインテッセンス10月
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マイクロ導入までに若手Drが習得すべき6ステップ─ここまでやろう! 歯内療法マイクロ導入までに若手Drが習得すべき6ステップここまでやろう! 歯内療法152FUNDAMENTAL COMPREHENSION1.なぜ根管洗浄を行うのか? 前回(8月号)までの連載で,適切な根管形成を行うための手順や実際の根管形成法を述べた.ところで,根管内の感染源を除去し,根管充填を行うべく適切な根管形態を付与するためには,ファイルを用いた根管の機械的拡大・清掃が重要である.しかし,根管系は複雑であり,根管内壁の不整な凹凸やイスムス,フィンなどの存在により,機械的拡大・清掃だけで根管の感染を完全に除去することは困難であり,さらに細菌の栄養源となりうる歯髄残渣や壊死組織なども残存してしまうこととなる(図1).また,ファイルによる機械的拡大・清掃により産生された切削片も除去する必要があるが,切削片は根管内に浮遊しているものだけではなく,根管壁に層状に堆積しているものもある.この層状構造物をスミヤー層というが,いわゆる感染根管治療で生じるスミヤー層内には細菌が存在し,さらには細菌が侵入している根管側枝や象牙細管などを封鎖してしまう(図2).加えて,スミヤー層の存在により,根管充填の封鎖性が低下してしまう可能性もある.根管洗浄と根管貼薬ステップ5 したがって,根管内の有機質やスミヤー層などを除去することが重要であり,根管の化学的清掃,つまり根管洗浄が鍵となる.そのため,根管洗浄剤には殺菌作用や有機質溶解作用,スミヤー層除去作用などが求められており,それらの作用を有する次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液やEDTA液(エデト酸,エチレンジアミン四酢酸)などが用いられている(表1).2.NaClO溶液は諸刃の剣? NaClOは古くから根管洗浄に用いられており,日本ではヒポクロリットやアンチホルミン,NCなどと呼ばれている.その殺菌作用や有機質溶解作用のため,根管洗浄には欠かせないものであるが,組織刺激性や細胞毒性があり,根尖孔外に多量に溢出すると重篤な事故が起こりうる.また,コラーゲン変性による象牙質の性質変化の可能性なども考えられる. 根管洗浄に用いる場合,一般的に欧米では5.25%(日本では6~10%)の溶液を原液あるいは最大0.5%キーワード:NaClO,EDTA, 超音波振動,水酸化カルシウム吉川剛正/田中利典*/澤田則宏*1けやき歯科桜台診療所/*川勝歯科医院/*1東京都開業 澤田デンタルオフィス連絡先:〒176‐0011 東京都練馬区豊玉上2‐9‐10‐2FDisinfection: Root Canal Irrigation and Intracanal MedicationGosei Yoshikawa, Toshinori Tanaka, Norihiro Sawada(全6回・隔月連載)the Quintessence. Vol.31 No.10/2012̶2278

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