ザ・クインテッセンス10月
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162 患者さんと向き合うことをおざなりにしては今後の歯科医院経営は立ち行きません.そこで,医院一丸となって行えるコンサルテーションの極意をやさしく解説します.林 美穂歯科・林美穂医院連絡先:〒810‐0041 福岡県福岡市中央区大名2‐1‐35 トライエント山崎ビル6FDr.美穂の㊙コンサルテーションテクニックMANAGEMENTStep10本格的な治療介入はいつから?──全顎的な自由診療はトラブルを引き起こしやすい! コンサルテーションを行い,患者さんとの間でインフォームドコンセント(説明のうえでの同意)が確立できたら,本格的な治療介入が始まりもに薄れてくるものです.そればかりか,私たちの記憶も曖昧になってくるのです.書面にサインをいただくだけでも,お互いの思い込みや勘違いなどによるトラブルを未然に防ぐことができるのです. 全顎的な自由診療を行う場合などは,とくに年単位での治療期間が必要になることがあります.そのような場合,患者さんの生活背景や経済状態も時間の経過とともに変化することもあります.治療承諾書があれば安心と言っているわけではありませんが,お互いの記憶を整理し,金銭的なトラブルを引き起こさないためにも,このような契約書へのサインは必須といえます. 契約書は,患者さんの治療に対する1つの覚悟を意味しています.その意思決定を確認するうえでも,承 Step9では,コンサルテーション時に準備した方がよいものを説明しました.そのなかで,とくに自由診療における治療介入時期を決定づけるものは,見積書に対する承諾書へのサインです.このサインをいただくことが自由診療を行ううえでの重要な契約になるのです.また,さまざまな手術をともなう場合などは,手術に対する承諾書へのサインをいただくほうがよいでしょう. 読者の皆さんのなかには,「私の医院では患者さんとの信頼関係がしっかりと確立しているから,契約書なんかはいらない」と思われている先生もいらっしゃるのではないでしょうか.しかし,信頼関係はちょっとしたことにより崩れることもあるのです. 患者さんの記憶は時間の経過とととくに治療費が高額になりがちな全顎的な自由診療において,患者さんとの良好な関係を築きつつ,円滑に治療を進めていくにはどうしたらよいかを考えてみましょう今月のメニューキーワード:コンサルテーション,自由診療,全顎治療ます.しかし,治療介入においてもさまざまなことへの注意が必要になります. 今回はとくに,自由診療におけるさまざまなトラブルを例に挙げ,患者さんとの良好な関係を築きつつ円滑に治療を進めていくにはどうしたらよいかを考えてみたいと思います.本格的な治療介入時期は?諾書へサインをいただくことは自由診療を開始するための重要なポイントになります.Dr. 美穂のアドバイス 患者さんのなかには,高額医療費控除(年間10~200万円)についてご存知でない方もいらっしゃいます.これらの制度を上手に利用するようにお話しすることも重要です.所得が多く,税金を多く支払っている患者さんからは,たいへん喜ばれますよ.the Quintessence. Vol.31 No.10/2012̶2288

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