ザ・クインテッセンス11月
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84超高齢社会のいま,総義歯臨床を再考する─第1報─84 多くの先生が,自身が取り組んだ総義歯臨床が思わしくない結果を招くことが多いと苦慮し,その理由として全部床義歯が動揺して不安定であることを挙げている.それゆえ,最近では「どんな総義歯臨床でも絶対失敗しない術式」と礼賛されているのが,インプラントを固定源とした総義歯臨床であろう.しかしその歴史は浅く,有床義歯学や歯科インプラント学の分野での検証が始まったばかりで未知数な術式と言っても過言ではない.また,全部床義歯を固定さえすれば,総義歯臨床が必ずしも成功するとも限らない. 本誌2010年11月号に掲載した「超高齢社会のいま,総義歯臨床を再考する─第1報─」では,総義歯臨床を成功に導くには,術式論ばかりを追い求めるのではなく,これまでの総義歯臨床を見直すことで問題点を明らかにし,臨床的検証によってその解決策を見出すことが重要であると提言した.そして,これからは熟達を必要とするのではなく,エッセンス(精髄)な理論による総義歯臨床を追い求めるべきであるとも論じた1.そこで,「総義歯臨床の4つの誤った認識」を取り上げて解説した(表1). また,104名のアンケート結果から,総義歯臨床では「咬合採得」がもっとも不得意であることが判明した.そこで,「咬合採得」を再考することを目的に,臨床例を交えながら解説した(表2). 第2報となる本稿では,「総義歯臨床への疑問」として新たに集計したアンケート結果をもとに,前編・後編の2回に分けて解説してみたい.補綴臨床総合研究所連絡先:〒461‐0025 愛知県名古屋市東区徳川1‐8‐41‐602Email:stepup@shuurenkai.com中村健太郎Answer the Top Three Questions about Complete Denture from 150 DentistsKentaroh Nakamuraキーワード:超高齢社会,総義歯臨床,咬合採得,人工歯排列はじめにthe Quintessence. Vol.31 No.11/2012̶2436150名のアンケート調査に基づいた「総義歯臨床への疑問」トップ3に答える前編:人工歯排列について超高齢社会のいま,総義歯臨床を再考する ─第2報─

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