ザ・クインテッセンス1月
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今まで行われてきた治療法について,長期経過症例・文献をもとに,その適応と効果を「検証」し,さらに今後の展望を考察する.THE VERIFICATION検証の時代はじまる87 再生療法でせっかくできた幼弱な新生組織をリエントリー手術などで侵襲して壊すべきではない.先の治療に進むにあたって,エックス線写真などの二次元的な確認方法だけでなく,明視野下で確認したいというのも臨床現場の声としては多々聞かれる.一方,非吸収性膜を応用するGTR法や一部のインプラントシステムのように,二次手術が必須の場合にはリエントリー手術は必ず行われることになる. そこで,本稿ではリエントリー手術が必要な場合と不要な場合を整理し,必要な場合はどのようにして幼弱な新生組織を侵襲から守るかの術式・手技の実際を提案することにより,臨床現場でのリエントリー手術に対する考え方を整理してみたい. まずは異なる2つのケースから,リエントリー手術の意義から考える.東京都開業 スウェーデンデンタルセンター連絡先:〒100‐0011 東京都千代田区内幸町2‐2‐3 日比谷国際ビル3F弘岡秀明Reconsideration of the Re-Entry Procedure for the Periodontal DiseaseHideaki Hirookaキーワード:リエントリー手術,歯周組織再生療法,エムドゲイン療法,楔状骨欠損リエントリー手術を再考する──その手術は本当に必要か?リエントリー手術を行った症例症例1 エムドゲイン療法で楔状骨欠損が 改善された症例 患者は54歳,女性.初期治療後も遠心にPP-D10mm,BOP,ならびにエックス線写真上で楔状骨欠損が認められる(図1).歯周補綴のキートゥースとなるため,同部にエムドゲイン療法を試みることとした.フラップが翻転され,根面のデブライドメントが行われた.遠心に10mmの2~3壁性の楔状骨欠損が認められる(図2).同部にエムドゲインゲルが塗布され(図3),軟組織にて完全閉鎖の後,徹底的な縁上のプラークコントロールが6か月間なされた. 6か月後,同部が麻酔下で全層弁にて剥離された.遠心部の楔状骨欠損は骨で満たされ,約5mmの骨添加が認められる(図2と比較のこと:図4).歯周病学会の用語集によると,リエントリー手術は1.はじめに:リエントリーの意義the Quintessence. Vol.32 No.1/2013—0087

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